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中国中銀の国債売却に備え「レッドライン」、トレーダーの警戒高まる
中国人民銀行が国債売却を自由に借り入れ可能にし、トレーダーらは利回り低下に備えている。
人民銀介入で利回り上昇、市場は相場下落を緩やかと予想。
政策当局はバブル懸念から国債売却を検討、利回り押し上げを狙う。
(ブルームバーグ): 中国人民銀行(中央銀行)が「数千億元」規模の中長期債を自由に借り入れ売却できるようになったことから、債券トレーダーは国債の記録的な低利回りを中国が押し戻し始めることに備えている。
ブルームバーグがトレーダーとアナリストの14人を対象に実施した調査の中央値によると、トレーダーらは10年債と30年債の利回りにそれぞれ2.25%と2.45%の「レッドライン」を引き、こうした水準まで利回りが低下すれば売却が実施される可能性があるとしている。
回答者の3分の2以上が、人民銀が介入した場合、利回りは5-10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇すると想定。相場下落の影響は緩やかだとみている。
ソシエテ・ジェネラルの首席アジアマクロストラテジスト、キヨン・ソン氏(香港在勤)は、「国債売却の意図は利回り水準を大幅に上昇させることではなく、ここからの高揚感を伴う国債値上がりを防ぐことにある」と指摘した。
人民銀は先週、国債を売却して相場上昇を抑えるという大きな一歩に向け踏み出し、売却する国債を借り入れることで金融機関と合意したと発表した。
指標の10年債利回りは過去最低の2.18%から上昇したものの、依然として過去最低水準に近い。9日は2.27%前後での推移だった。
調査によれば、回答者の3分の1強が、国債売却を人民銀が開始しない場合、7月の利回りはレンジ内での動きになると予想している。
中国経済の先行きに対する広範な悲観論が国債買いをあおる一方で、本土の投資家にとっては代替となる投資機会が少なく、安全と見なされる資産への物色に拍車をかけている。
国債利回りが過去最低を更新したことで、政策当局は市場にバブルが発生し、いずれ利回りが急上昇した際に投資家が損失を被る可能性を懸念。そのため、口頭で警告が発せられ、今では国債を売却がなされようとしている。
INGグループの大中華圏チーフエコノミスト、リン・ソン氏は、「もし今四半期に人民銀が大規模な国債売却を実施すれば、利回りに直接的な影響を与えるだけでなく、投機的な動きをある程度止め、全般的に利回りを押し上げるはずだ」と分析。