中国国民、不平等への不満高まる-能力や才能では豊かになれず

AI要約

中国国民は経済システムにおける不平等が資産を築くチャンスを奪っていると非難しており、国内での信頼回復が急務となっている。

中国の人々は今や裕福な家庭出身やコネよりも、能力や才能を重視して豊かになれるとの認識が高まっており、これは数年前とは大きな変化を示している。

共産党は所得格差の是正や「共同富裕」運動を推進してきたが、所得格差の解消や経済成長の鈍化に悩む中、今後の方針が注目される。

(ブルームバーグ): 中国国民は経済システムにおける不平等が資産を築くチャンスを奪っていると非難している。中国共産党は第20期中央委員会第3回総会(3中総会)を15-18日に開くが、国民の信頼を取り戻すことが喫緊の課題となっている。

ワシントンに本部を置く戦略国際問題研究所(CSIS)が9日発表した数千人から1万人を超える中国人を対象とした調査で、「コネ」と裕福な家庭で育つことが豊かになれると予測し得る要因のトップに挙げられた。

これは、能力や才能が最も重視された2015年より前の10年間からの劇的な変化だ。

今回の調査で中国の人々は貧しい主な理由として、能力の不足に代わり機会の不平等を指摘。全国的な世論調査を実施してきた20年間で、この回答がトップになったのは初めてだとCSISは報告書で明らかにした。

「こうした傾向は能力主義や経済が全ての国民に公平に恩恵をもたらすという信頼が低下していることを示唆している」とCSISのイラリア・マッツォッコ、スコット・ケネディ両研究員は分析し、「将来の不確実性が高まると、国民は消費や新規事業への投資を行いにくくなる」との見方を示した。

共産党の習近平総書記(国家主席)は2012年の党トップ就任以来、汚職の徹底的な取り締まりや貧富の格差を是正する「共同富裕」(共に豊かになる)運動を推進。そうした取り組みにもかかわらず、所得格差はほとんど変わっていない。一方、中国の所得は1980年代後半以来最も遅いペースでの伸びにとどまっている。

中国にとって極めて重要な会議で基本的に5年に1度開催の3中総会では、政策当局が世界2位の経済大国をどのように運営していくか長期的なビジョンが示されると見込まれている。

CSISの2023年調査は4-6月(第2四半期)と7-9月(第3四半期)、10-12月(第4四半期)に実施され、サンプル数はそれぞれ1万2059人、1万3022人、7544人。