「業務スーパー」FC加盟会社、労使でかみ合わない「正義」

AI要約
業務スーパーのフランチャイズ店を運営する企業が破産し、労使間のトラブルが明らかになった。労働組合が無償での株式譲渡を求め、経営陣が受け入れず破産を選択。経営状況の悪化や売上減少も影響していた。時限ストライキや負債総額、取引終了による売上減少などが破産の要因となった3社の詳細。業務スーパーFC店の運営会社の経営状況が悪化し、破産申請へ至った経緯。ストライキに発展した労使間のトラブルや破産開始決定を受けた3社の背景、負債総額、売上減少など。経営陣の苦悩や経営状況の悪化が破産につながった。
「業務スーパー」FC加盟会社、労使でかみ合わない「正義」

 破産開始決定を受けた北海道で7店舗の「業務スーパー」のフランチャイズ店を運営していた(株)ケヒコ(TSR企業コード:352478845、横浜市中区)と関連2社。ストライキにまで発展した破産事件の原因が明らかになってきた。労働組合が求めた「無償」での株式譲渡に対し、経営陣は受け入れられず、破産を選択した。労使間の協議や破産申請の背景を東京商工リサーチ(TSR)が迫った。

 7月30日に横浜地裁から破産開始決定を受けたのは、業務スーパーのFC店を運営するケヒコと、雑貨輸入販売などの(株)エス・インターナショナル(TSR企業コード:350655936、横浜市中区、以下エス・インター社)と、この持株会社の(株)広(TSR企業コード:694769517、横浜市中区)だ。

 労使間のトラブルが露呈したのは、6月29日にケヒコが運営する「業務スーパー」が時限ストライキを実施したためだ。労組は、「代表者の会社資金の私的流用や不採算事業への投資などでグループの経営が悪化したうえ、破産を検討している」としてストライキに踏み切っていた。

 ストライキなどで混乱が生じるなか7月30日、3社は横浜地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は3社合計で11億3,950万円だった。

 7月30日、申請代理人による「破産申請に至った事情」で経営陣の苦悩も明らかになった。エス・インター社は、かつては「港湾会社」との取引を主業としていた。しかし、2023年3月にこの会社との取引が終了。これに伴い、2022年12月期で8億5,642万円だった売上高のうち、約4億円分が消失した。

 これをカバーするために子会社のケヒコが2022年10月以降、北海道内に次々と新規出店した。だが、出店に伴う費用や借入金の増加で経営状況が悪化。ケヒコの長期借入金は2019年8月期は約1億3,000万円だったが、2023年8月期には約2億7,500万円にまで膨らんだ。