過去最多の中国軍機、台湾海峡中間線越え-米経由の総統外遊に圧力か

AI要約

台湾国防部は中国軍機が過去最多の56機を派遣し、台湾海峡の中間線を越えて台湾の防空識別圏に進入したことを明らかにした。

新総統の外遊計画が進む中、台湾軍は軍用機やミサイルシステムで対応。詳細は非公開。

中国の圧力キャンペーンの一環と考えられる今回の動きや、中国による台湾漁船の拿捕により緊張が高まる状況。

(ブルームバーグ): 台湾国防部(国防省)は現地時間11日午前6時(日本時間同7時)までの24時間で、1日としては過去最多となる中国軍機56機が台湾海峡の中間線を越えて台湾の北と南西、南東の防空識別圏(ADIZ)に進入したと明らかにした。X(旧ツイッター)に投稿した。

5月に台湾の新総統に就任した頼清徳氏が立ち寄り先に米国が含まれる可能性がある外遊を検討する中で、こうした動きが起こった。

台湾国防部によると、台湾軍は軍用機と艦艇、ミサイルシステムでこうした動きに対応した。その後の詳細については明らかにしなかった。

台湾の中央通信社(CNA)によれば、林佳竜外交部長(外相)は10日、頼総統が台湾と関係の深い国々を訪問する可能性があり、米国を経由することを検討していると述べた。外遊計画の詳細はなお策定中とした。

中国は蔡英文前総統が昨年訪米した際に大規模な軍事演習を実施した。蔡氏が当時の下院議長、ケビン・マッカーシー氏と会談したことが、米国と台湾の公式接触に反対する中国の逆鱗(げきりん)に触れた。

今回の中国軍機のADIZ進入は、1月の総統選で勝利を収めた頼氏に圧力を加える中国のキャンペーンの一環とみられる。

今月2日には、中国海警局は福建省沖合で6人が乗った台湾漁船を拿捕(だほ)した。中国による台湾漁船の拿捕は2007年以来。中国側はこれを通常の法執行活動と主張している。台湾は中国に対し、事態をさらにエスカレートさせることを控えるよう強く求めた。

中国が台湾の漁船と乗組員6人拿捕-緊張高まる恐れ

台湾海峡中間線は1950年代の中台間の緊張が高まった時期に米国が設定した。中国は正式には認めていないものの、数十年にわたり尊重してきた。しかし、中国軍機が中間線を越えて進入するケースが増えており、中台の緩衝地帯は実質的に縮小している。

原題:China Sends Most Warplanes Ever Across Key Line With Taiwan(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.