商品開発のプロセスに顧客を巻き込む「コミュニティ共創法」と実施のポイントは?

AI要約

将棋に「定石」があるように、ビジネスには経営学者や実務家によって開発された「フレームワーク」がある。思考を助ける枠組みであり、アイデア創出やニーズの発見、課題の洗い出し、戦略立案、業務改善など、活用シーンはさまざま。

 顧客の意見を商品開発に反映させる手法、「コミュニティ共創法」について説明しています。例として、無印良品やWebサイト上での取り組みが挙げられています。

「コミュニティ共創法」は顧客と一緒に新商品やサービスを開発する手法であり、デジタル時代における顧客参加の重要性や価値共創の概念が説明されています。

 将棋に「定石」があるように、ビジネスには経営学者や実務家によって開発された「フレームワーク」がある。思考を助ける枠組みであり、アイデア創出やニーズの発見、課題の洗い出し、戦略立案、業務改善など、活用シーンはさまざま。その概要と使用法を心得ておくことが、ビジネスパーソンにとっての大きな武器となる。本連載では、事例・参考例が豊富な『ビジネスフレームワークの教科書 アイデア創出・市場分析・企画提案・改善の手法55』(安岡寛道、富樫佳織、伊藤智久、小片隆久共著/SBクリエイティブ)から、内容の一部を抜粋・再編集。

 第2回は、顧客の意見を商品開発に反映させる手法、「コミュニティ共創法」を取り上げる。

■ コミュニティ共創法 概要

 コミュニティ共創法は、顧客(ユーザー)とともに新商品や新サービスを開発する手法です。一般的な例としては、次のようなケースがあります。

 自社のWebサイト上で顧客に商品化してほしいものを募り、それをもとにして開発担当者が検討を進める

 商品開発の途中で、顧客に複数の案を提示して投票してもらい、意見を反映する

 日本では、無印良品の商品開発が、顧客の意見を反映する共創型の開発手法の代表例としてよく取り上げられます。

 インターネットが普及する以前は、企業が顧客の声を拾う主な手法は「カスタマーセンターでの電話による顧客の声の収集」でしたが、2000年以降は自社のSNSグループ(Facebookなど)や、Webサイトなどから顧客の声を収集できるようになり、商品やサービスに顧客の声を反映することが容易になりました。それに伴って、新商品の開発プロセスに顧客を巻き込む「コミュニティ共創法」が発展してきました。

 「共創」という言葉は、ミシガン大学ビジネススクール教授のC・K・プラハラードが著書『価値共創の未来へ―顧客と企業のCo‐Creation』(2004年、武田ランダムハウスジャパン)の中で「顧客と一緒になって価値を生み出さなければ企業は競争に生き残れない」と説いたことからはじまっています。

 「コミュニティ」という言葉は、マーケティングの巨匠フィリップ・コトラーが、デジタル時代の新しいマーケティングコンセプトを示した著書『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』(2017年、朝日新聞出版)の中でその重要性を示し、注目が集まっています。

 デジタル時代では、顧客は、企業から一方的に発信されるメッセージだけではなく、友人やSNS上のコミュニティなどからも影響を受けるため、企業側においては、顧客に商品や企業自体のファンになってもらうために、ファン意識を醸成するコミュニティをどうのように設計するかが重要になると言われています。