狭まるフランスの選択肢、極右内閣か議会こう着か-視界不良の時代へ

AI要約

フランス国民議会(下院)選挙の第1回投票の結果を受け、今後のシナリオは2つに狭まった。いずれも投資家にとっては不透明性の長期化を示唆する。

現時点で議会過半数を狙える位置にあるのは、極右政党、国民連合(RN)とその協力政党だけだ。従って、一つのシナリオは極右が支配する新政府の誕生だ。

もう一つは、競合政党の候補者調整や選挙協定が奏功し、RNの過半数獲得を阻む展開だ。その場合、どの政党も過半数を獲得できないハングパーラメントとなる。

(ブルームバーグ): フランス国民議会(下院)選挙の第1回投票の結果を受け、今後のシナリオは2つに狭まった。いずれも投資家にとっては不透明性の長期化を示唆する。

現時点で議会過半数を狙える位置にあるのは、第1回投票で得票率首位に立ったマリーヌ・ルペン氏の極右政党、国民連合(RN)とその協力政党だけだ。従って、一つのシナリオは極右が支配する新政府の誕生だ。

もう一つは、今週見られている競合政党の候補者調整や選挙協定が奏功し、RNの過半数獲得を阻む展開だ。その場合、RNが議会内の最大勢力を占めるが、どの政党も過半数を獲得できないハングパーラメントとなる。

残ったシナリオは2つとも、政府の安定性や政策、欧州全体への影響で中期的な見通しが不透明だ。1日の市場の反応はそれを物語る。フランス株とユーロは上昇、フランス債とドイツ債のスプレッドは縮小したが、投資家の疑念が戻り上げ幅は縮小した。

ユニオン・インベストメントのポートフォリオマネジャー、ギュンター・ウェルター氏(フランクフルト在勤)は「1つ明らかなことがある。政治の力学は主流派から非主流派に移りつつある」と指摘。「統治はもっと難しくなる。RNが過半数を握っても、過半数に届く勢力がなくてもだ」と語った。

定数577のフランス下院で過半数を握るには、289議席が必要だ。調査会社が予測したRNの獲得議席数は最低が230、最高が305だった。以下、最もあり得る2つのシナリオと想定される市場の反応について分析した。

1.ハングパーラメント

このシナリオの下では、RNが大差で議会の最大勢力になるとしても、バルデラ党首は公約通り少数内閣の首相就任を拒否する。

そこでまず問われるのは、マクロン大統領が誰を首相に指名するかだ。政党に属していないテクノクラートの指名は選択肢の一つになる。だが、そのような人物の指名が可能だとしても、反エリートを掲げる勢力が台頭する議会で指導力を発揮するのは難しいだろう。