仏下院選、30日に第1回投票-マクロン大統領、ルペン氏の極右に劣勢

AI要約

フランス国民議会(下院)選挙の第1回投票が30日に実施され、極右政党や左派連合が優位を争う展開となっている。

マクロン大統領は解散総選挙を表明し、極右や極左勢力の台頭を危険視している一方、ルペン氏や左派連合はマクロン政権に対する批判を強めている。

30日の投票の結果が注目される中、選挙制度や各政党の予想獲得議席数について不透明な状況が続いている。

仏下院選、30日に第1回投票-マクロン大統領、ルペン氏の極右に劣勢

(ブルームバーグ): フランス国民議会(下院)選挙の第1回投票が30日に実施される。「歴史に記そう」というマクロン大統領の国民への呼びかけが、有権者の投票行動によって現実になる。だが、それは大統領が望んでいた歴史ではないかもしれない。

「信任を問う行動」だとしてマクロン大統領が下院の解散総選挙を表明してから3週間。宿敵マリーヌ・ルペン氏が事実上率いる極右政党「国民連合(RN)」が世論調査で圧倒的にリードしている。マクロン氏率いる中道グループは3位で、社会党と共産党、緑の党、極左の「不屈のフランス」から成る左派連合「新人民戦線」に後れを取っている。

6月9日にマクロン大統領が電撃的に発表した下院解散は、欧州議会選挙で極右政党が躍進し、与党連合が惨敗したことを受けたもの。同盟国の不意を突くとともに、RNや左派連合がフランスの財政や企業に及ぼし得る影響を巡って市場に混乱を巻き起こした。

マクロン大統領は解散総選挙を発表したテレビ演説で、「ナショナリストや扇動政治家の台頭は、わが国だけでなく欧州にとっても、世界におけるフランスの地位にとっても危険だ」と述べた。

一方のルペン氏は大統領の経済対応を攻撃し、改革者としてのレガシーを築こうとするマクロン氏の取り組みの核心を突いた。また、移民問題や安全保障問題など、ルペン氏支持者にとって中核的問題へのマクロン政権の取り組み方についても批判している。左派連合の新人民戦線は、RNを政権から遠ざけることができる唯一の政治勢力だと主張。経済面では、フランスの最低賃金の大幅引き上げと富裕層への増税を要求している。

これに対しマクロン氏は、極右や極左陣営が掲げるアジェンダ(政策課題)は国民の相互対立をあおり、「内戦」を引き起こしかねないと警告した。

下院(定数577)の一部議席は30日に決まるが、大半は7月7日の決選投票に持ち込まれる可能性が高い。2回投票を行うフランス独特の選挙制度のため各党の獲得議席数の予想は難しいが、世論調査会社の予測では、RNと同盟政党が最大勢力になりそうだ。RN率いるグループが議会過半数を占めるには289議席を獲得する必要があり、28日に公表されたエラブの調査結果では260-295議席、オドクサの調査では265-305議席を獲得するとの見通しが示された。