ロシア200カイリ内での3年ぶり試験操業へ、根室・花咲港から操業船出港…北洋サケ・マス漁の形残す「最後の砦」

AI要約

ロシア200カイリ水域内で3年ぶりに行われるサケ・マス漁の試験操業が始まった。漁船「第68善龍丸」が花咲港を出港し、高級魚ベニザケなどの漁獲を目指す。

2016年以来禁止されていたロシアの200カイリ水域内での流し網漁が再開され、毎年1隻の漁船が出漁。ウクライナ侵略の影響で22年は操業を見送っていたが、今年再開された。

漁獲割り当てはベニザケ10トン、カラフトマス90トン、シロザケ20トンなど計125トンで、海外の漁場での重要性が示されている。

 ロシア200カイリ水域内で3年ぶりに行われるサケ・マス漁の試験操業に向けて、操業船「第68善龍丸」(199トン)が1日、家族や漁協幹部らに見送られて北海道根室市の花咲港を出港した。引き網漁で高級魚ベニザケなどの漁獲を目指す。

 試験操業は、2016年にロシアの200カイリ水域内で日本漁船の流し網漁が禁止されたことから、資源調査名目でスタート。毎年、漁船1隻が出漁し、引き網漁を実施していた。22年にロシアのウクライナ侵略で操業を見送っていたが、海外の漁場で北洋サケ・マス漁の形を残す「最後の砦(とりで)」として再開した。

 漁獲割り当てはベニザケ10トン、カラフトマス90トン、シロザケ20トンなど計125トンで、ロシアに入漁料約2500万円を支払う。事業主体「海洋水産システム協会」(東京)の酒井拓宏・研究開発部長(47)は「網を改造して従来よりも魚を捕集しやすくした」と語る。第68善龍丸の平山大輔船長(44)(根室市)は「漁場に行ってみないとどうなるかわからないが、なんとかベニザケをたくさんとりたいね」と意欲を示した。善龍丸は21日に帰港する予定となっている。