新NISAで出口戦略はなぜ重要? 非課税の旨みを失うことも…失敗は「貧乏老後」に直結 桶井道【おけいどん】

AI要約

投資家の桶井道さんが投資の出口戦略について解説。出口戦略は将来の生活にお金を活用するために重要であることが強調されています。

出口戦略とは、投資で増やした資産を現金化し、実際の生活で利用できる形にすること。将来の家族への資産の引継ぎなども含まれます。

出口戦略の失敗は貧困な老後に直結するため、早い段階から計画を立てる必要があります。次回では具体的な出口戦略の策について説明予定。

新NISAで出口戦略はなぜ重要? 非課税の旨みを失うことも…失敗は「貧乏老後」に直結 桶井道【おけいどん】

個人投資家の桶井道(おけいどん)さんの新連載「おけいどんの投資&適温生活LIFE」。今回のテーマは投資の出口戦略についてです。新NISAで投資に対する世間の熱が高まっていますが、意外と語られないのが、投資で増やしたお金を将来どのように日々の生活で利用できる形にするか。桶井さんは「投資を始める段階で、出口戦略についても考えておくの がよいでしょう」と言います。老後に失敗するとそこから状況を立て直すのは難しいからです。桶井さんの著書『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください』(すばる舎)の一部を抜粋し、編集しました。

■お金の増やし方よりも出口戦略のほうが大事!

「出口戦略」と聞くと、多くの方が「自分には、まだ関係がないからいい や……」と思うようです。しかし新NISAのような長期投資においては、増やしたお金を将来、どのように使うつもりなのかが非常に重要です。

 せっかく非課税で増やしたお金も、無計画に使いまくっていればすぐに なくなってしまうでしょう。あるいは配当金の受け取り方法を間違えて設定してしまい、課税されることで、長年かけて培った非課税の旨みを失ってしまうかもしれません。

 そうならないようにできるだけ早い段階から、可能であればこれから投資を始める段階から、出口戦略についても具体的に意識しておくことが大切だと私は考えています。

 実際に「出口」を出る年齢になってから出口戦略を学ぶのでは、残された時間が少ないために手遅れになりかねません。いつかは必ず求められる 知識ですから、ぜひ早い段階から知っておきましょう。知って備えておくことで、将来に損をすることを防げますし、現在の投資の仕方についても、より出口戦略を意識した方法を選ぶ助けとなります。

■出口戦略とは…実際の生活に使える形にすること

 ということで、そもそも「出口戦略」とは何か?というところから始めます。

 出口戦略をひとことで言えば、投資で増やした資産をどう現金化するか です。別の言葉で言い換えれば、証券口座のなかにある資産をどうやって 実際の生活に使える形にするか……ということです。

 付け加えれば、一般的にはその先で、あなたの資産を(未来の)家族にどう引き継いでいくのか(あるいは、あえて引き継がないのか)という部 分も、出口戦略の一部だと考えます。

 現金やそれに準じるお金の形にしないと、私たちは朝食の塩クロワッサンも、昼食のうどんも、夕食のお米も買えません。電気料金・ガス料金・水道料金も払えません。もちろんネット代やスマホ代も払えません。

 お金の増やし方は多く語られますが、出口戦略については語られることが少ないのが現実です。私はそうした現状に警鐘を鳴らしたいと思っています。本当は、お金の増やし方よりも出口戦略のほうが大切! ……なのです。

■なぜ重要? 出口戦略の失敗は「貧乏老後」に直結する  

 出口戦略こそが重要である理由は、出口戦略を失敗すると、そこからのリカバリーが非常に難しいからです。高齢になってから資金が枯渇すると、自力で資産をつくり直すための時間がもう残っていません。投資に関する判断能力も衰えているので、新たに投資を行っての挽回も厳しくなります。

 再び労働に戻って大きな収入を得ることも困難です。仮に身体が動くと しても、求人は限られているので希望する職種にはなかなか就けません。高齢になってまで希望しない条件ではもう働きたくないでしょう。生活費 の足しくらいには働くことができても、もう一度、大きな資産形成をする ために余分に稼ぐ体力はなくなっています。場合によっては病気などで健 康状態も悪くなっているでしょう。

 老後はお金の不安とは無縁に、のんびり静かに余生を送りたいもの。そうした余生を実現するためには、出口戦略は「絶対に負けられない戦い」とならざるをえないのです。

 では、何をどうすればいいのか?出口戦略の具体策は次回に改めて説明したいと思います。

桶井 道 (おけいどん) 個人投資家(投資歴20数年)・物書き。

1973年生まれ。会社員人生25年間「労働+節約+貯金+投資」の歯車を回し続けて、2020年47歳で資産1億円とともに早期退職した。それから3.5年で資産を1.8億円にまで成長させる。投資先は世界30か国の高配当株や増配株、ETF、REITなど幅広い。現在は両親(父は難病で要介護5、母はがんサバイバー)の介護・見守りをしつつ、物書きとして第二の人生を満喫している。子ども食堂への支援も行う。著書は『今日からFIRE! おけいどん式 40代でも遅くない退職準備&資産形成術』『月20万円の不労所得を手に入れる! おけいどん式 ほったらかし米国ETF入門』(ともに宝島社)、『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください』(すばる舎)など。連載は「アエラドット」「マネー現代」「プレジデントオンライン」。

◆X(旧ツイッター)アカウント @okeydon

◆ブログ『おけいどんの適温生活と投資日記』https://okeydon.hatenablog.com/

◆著者による書籍 https://www.amazon.co.jp/stores/%E6%A1%B6%E4%BA%95-%E9%81%93/author/B08Y93HR3H?ref=ap_rdr&isDramIntegrated=true&shoppingPortalEnabled=true