山口県下関市が地域新電力会社設立…民間4社と共同出資、再生可能エネルギーの「地産地消」目指す

AI要約

山口県下関市が民間4社と共同出資して地域新電力会社「海響みらい電力」を設立し、2023年4月から電力の供給を開始する。

新会社は再生可能エネルギーを活用し、市のごみ焼却場やバイオマス発電所から電力を買い入れ、初年度の供給量は4400万キロ・ワット時に及ぶ予定。

木村代表取締役は再エネ由来の電力を大手電力よりも安価に提供することを目指し、2029年には一般家庭や事業所への売電も計画している。

 山口県下関市が民間4社と共同出資し、地域新電力会社「海響みらい電力」を設立した。脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーを「地産地消」する都市づくりが目的で、来年4月から電力の供給を開始する。自治体が出資する新電力会社は、県内では「うべ未来エネルギー」(宇部市)、「山口グリーンエネルギー」(山口市)に続いて3番目という。(平木和頼)

 新会社は今月6日に設立され、下関市リサイクルプラザ内に本社を置く。

 資本金は1500万円で、筆頭株主の山口大発のベンチャー企業・MOT総合研究所(宇部市)が53・7%を出資。下関市の出資比率は33・3%で、重要事項への拒否権を持つ。残りの出資会社は山口合同ガス(下関市)、スーパーを展開する丸久(防府市)、電力運用代行会社・エフィシエント(東京)。代表取締役には同研究所の木村俊之社長と下関市の北島洋平副市長が就き、取締役は4社が1人ずつ派遣した。

 新会社は、焼却熱を元に電力を生み出す市のごみ焼却場・奥山工場や、来年1月に稼働する民間の長府バイオマス発電所(下関市)などから電力を買い入れる。当初の供給先は市の庁舎や学校など公共施設と、市内の丸久の6店舗に限る。

 初年度の供給量は4400万キロ・ワット時、売り上げは11億6500万円、二酸化炭素削減量は2万4000トンを見込む。ノウハウなどを蓄積し、2028年4月からは一般家庭や事業所にも売電。29年度はそれぞれ9900万キロ・ワット時、25億4500万円、5万4000トンを想定している。

 再エネ由来の電力は一般的に料金が高くなりがちだが、木村代表取締役は「大手電力よりも高くならないよう企業努力し、契約数を増やしていきたい」としている。

 27日に市役所で記者会見が開かれ、前田晋太郎市長と4社の社長らが出席。前田市長は「新会社の設立は脱炭素社会づくりに向けた挑戦だ。収益は当面、事業基盤構築のために内部留保するが、市民への還元として地域の活性化や問題解決のために活用していく」と述べた。