廃アルミ水素発電を実用化 富山県高岡市のベンチャー企業、千葉のホテルで

AI要約

環境ベンチャーとホテルが廃アルミを使った水素火力発電事業を発表。

ホテル内に再エネパークを設け、持続可能なリゾートを目指す。

アルミ水素を使用し、年間の電力使用量の一部を賄う計画。

廃アルミ水素発電を実用化 富山県高岡市のベンチャー企業、千葉のホテルで

 環境ベンチャーのアルハイテック(高岡市オフィスパーク、水木伸明社長)とホテル三日月(千葉県木更津市、小高芳宗社長)は26日、廃アルミを用いた水素火力発電を事業化すると発表した。アルハイテックの独自技術で製造する「アルミ水素」によって、化石燃料に頼らずに電力を生み出し、ホテルで活用する。2026年4月に稼働させ、グリーンで持続可能なリゾートとしてアピールする。

 アルハイテックの水素火力発電システムの実用化第1弾となる。

 ホテル三日月は、木更津市と栃木県日光市、ベトナム・ダナンにリゾートホテルを展開。持続可能な開発目標(SDGs)を重視し、「サステナブルリゾート化計画」を掲げている。

 計画では敷地内に「再エネパーク」を設け、食品残さを用いたバイオガス発電や、ごみの再資源化、ホテルで提供するエビの陸上養殖など、多様な取り組みを順次進める。計画を進める上で、燃焼時に二酸化炭素を排出しないアルハイテックの水素火力発電に着目。同社に協業を打診し、パートナーシップ契約を結ぶこととなった。

 再エネパークに、廃アルミとアルカリ溶液の化学反応で水素を発生させるアルハイテックの装置と、水素エンジンによる発電設備を導入する。アルミの調達は、木更津市や関東圏の非鉄金属リサイクル企業が協力し、アルミ付き包装容器や工場で出たアルミスクラップなどを回収する。年500~600トンを集める計画で、試算では木更津市の「龍宮城スパホテル三日月」の年間の電力使用量の45%程度を賄えるという。発電量の詳細は今後詰める。

 来館者がグリーンエネルギーについて学べる場とするため、水素火力発電の見学コース化にも取り組む。

 26日は龍宮城スパホテル三日月で契約締結式を行った。式後に記者会見した小高社長は、ベトナム以外の国からも進出要請を受けていると説明し、「木更津でプロジェクトを成功させ、海外にも展開していきたい」と強調。水木社長は「ホテルのグローバル展開に向け、課題解決に貢献したい」と語った。

3年で14件を計画

 アルハイテックはこれまで、高岡市の温浴施設でアルミ水素を用いたボイラーシステムを稼働させているが、今回はエネルギーの「本丸」である発電の事業化に初めて着手することとなった。

 計画では今後3年間で、水素火力発電システムをはじめとする水素製造技術の事業化を14件手がける。このほか、アルミを扱う製造業や宿泊業の企業、自治体などがグリーンエネルギーに関心を寄せており、現時点で約450件の引き合いがあるという。

 水木社長は「実験の段階が終わり、いよいよ社会実装へと進む。富山でも実績をつくりたい」と語った。