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「米国に従属するな」「立ち上がれ日本人」 来日したマレーシア元首相が“日本経済の復権”に大きく期待するワケ 過去には国産自動車メーカー設立も
日本政府は東南アジア諸国連合(ASEAN)の持続可能な成長を支援するために、OECDとの連携を強化している。
中国とASEANの経済関係が緊密化する中、中国企業が地域の成長をけん引している状況が続いている。
マレーシアのマハティール元首相は日本の主体的な役割を期待しており、中国との関係についてもASEAN内での意見が変化している。
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東南アジアの市場をめぐる日中の競争が激しさを増すなかで、日本政府はいま東南アジア諸国連合(ASEAN)の持続可能な成長を支援する姿勢を強くアピールするようになっている。
岸田文雄首相は5月2日、パリの経済協力開発機構(OECD)本部で開催された東南アジアとの連携に関する会合で、信頼できるデータと分析というOECDの強みを東南アジアの持続可能な成長につなげるため、
「日本OECD・ASEANパートナーシップ・プログラム(JOAPP)」
を立ち上げ、今後3年間で800万ユーロ(約14億円)規模の資金を動員し、民間投資、持続可能性、デジタルなどの分野で、OECD専門家の派遣や調査・分析をするプロジェクトを実施していくと語った。
一方、中国とASEANの経済関係はますます緊密になりつつある。両者は4年連続で互いにとって最大の貿易パートナーとなっている。
4月8日には中国外交部の毛寧報道官が、
・中国「ラオス鉄道」
・ジャカルタ「バンドン高速鉄道」
や中国とマレーシアの産業パークなどの協力プロジェクトが地域の成長を加速していると強調している。現在ASEANのデジタル化をけん引しているのも中国企業だ。
こうしたなかで、アジアにおける日本の主体的な役割を強く期待してきたのが、親日家として知られるマレーシアの
「マハティール元首相」
だ。同氏が生まれたのは1925年7月10日。間もなく99歳になるが、
「アジアの賢人」
としての明快な主張のさえは衰えていない。1981年に第4代マレーシア首相に就任し、2003年まで22年間の長期政権を全うした。2018年に首相に返り咲き、2020年まで務めた。
1981年に首相に就いたマハティール氏は旧宗主国・英国との関係を相対化し、アジア諸国・イスラム諸国重視の外交に転換。
「ルックイースト(日本に学べ)政策」
を打ち出し、日本の労働倫理や経営手法を導入しようとした。
日本の技術協力による近代化を推進したマハティール政権は、1983年には三菱自動車と三菱商事の出資を得て、国産自動車メーカー「プロトン」を設立、1985年に三菱自動車の「ミラージュ」をベースに、国産車第1号の生産を開始。
しかし、2003年にマハティール氏が退陣すると、三菱自動車と三菱商事は資本提携を解消、2017年には吉利汽車の親会社である浙江吉利控股集団がプロトン株の49.9%を取得している。
マハティール氏は、日本が自信を取り戻し、アジアにおいて積極的な役割を果たすことを期待しているが、日本が米国に追随して中国と対立することを望んでいるわけではない。米中の間で中立的な立場を堅持するのが、マハティール氏の基本政策だ。
中国に対するASEANの認識もいま急激に変化しつつある。ASEANが米国と中国の選択を迫られた場合、いずれを取るかについて、シンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所が調査したところ、2023年には米国を選択する人が61.1%、中国を選択する人が38.9%だったが、2024年4月には、中国を選択する人が50.5%、米国を選択する人が49.5%となり、逆転した。マレーシア、インドネシア、ラオスでは、
「中国を選択する人」
の割合は7割を超えている。