中国の貿易黒字データ、不可解な食い違い-米国が説明求める

AI要約

中国の国際収支と税関データの間には差異があることが米財務省によって指摘されている。2023年の貿易黒字の差が特に顕著で、これが中国のGDPの1%に相当する。

異なる要因により、中国の貿易黒字額が国際収支と税関データで異なることが問題視されており、その理由が明確にされていない。

国際通貨基金はこの問題を注視し、報告書で取り上げる予定である。

(ブルームバーグ): 米財務省によれば、中国の税関データが示す貿易黒字額は国際収支で報告されているよりもはるかに大きい。中国の国際収支は国家外為管理局(SAFE)がまとめている。

同省は20日発表した半年に1度の外国為替報告書で、中国税関が公表した2023年の貿易黒字はSAFEの報告よりも2300億ドル(約36兆5000億円)近く大きかったと指摘。2000年以降、両者の差は平均70億ドルに過ぎなかったという。

住宅不況で国内消費が落ち込んだ中国は、経済成長の原動力を対外貿易に依存。こうした背景から2つの数値の食い違い拡大はここ数年、多くのエコノミストや国際機関から注目されている。23年の差は中国の国内総生産(GDP)の1%余りに相当する。

自国市場が中国からの製品で席巻されつつあると主張する中国の貿易相手国もあり、中国の貿易黒字額が実際にはどの程度なのかということが大きな問題となっている。

米財務省、日本を為替「監視リスト」に追加-操作国認定は皆無

SAFEは1年前、多国籍企業が中国企業に商品の製造を委託する特殊なタイプの自由貿易区を利用するようになったことが、データの違いの一因だと説明。

だが、米財務省は「過去3年間、どのような傾向がこうした格差を拡大させたのかは明らかではない」とし、中国に対しその理由をはっきりさせるよう定量的な裏付けをさらに提出するよう求めた。

国際通貨基金(IMF)は先月の記者会見で、昨年からこの問題を「注視」していることを明らかにし、近く公表される報告書で取り上げる予定。

もう一つの異常

IMFの中国担当ミッションチーフ、ソナリ・ジェインチャンドラ氏によると、税関のデータは国境を越えた物品の物理的移動に基づいているのに対し、SAFEの集計は所有権が変わる際の居住者・非居住者間の取引を対象としているため数値が異なるという。

同氏はこのようなギャップは他国にも存在すると述べたが、中国の場合、なぜ21年を過ぎ突然拡大し始めたのかは説明しなかった。