「同調圧力」が強い日本、ますます深刻化する「社会の老化」の実態

AI要約

日本の少子高齢化の影響を深く考察し、社会全体の活力が損なわれる可能性について述べられている。

コロナ禍が日本社会の「老化」現象を浮き彫りにし、過剰な自粛や同調圧力などが社会に広がる様子が描かれている。

過去のエネルギーが感じ取れない現代の日本において、活力を取り戻すための方策が必要である。

「同調圧力」が強い日本、ますます深刻化する「社会の老化」の実態

 人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。

 100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来のドリル』は、コロナ禍が加速させた日本の少子化の実態をありありと描き出している。この国の「社会の老化」はこんなにも進んでいた……。

 ※本記事は『未来のドリル』から抜粋・編集したものです。また、本書は2021年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。

 少子高齢化がもたらす最大の恐ろしさや弊害とは何だろうか? 

 それは、総人口に占める若者の割合が小さくなることに伴って、知らず知らずのうちに社会全体の思考や発想、行動が「守り」に入るようになることである。「守り」に入れば、やがて社会全体の活力が損なわれ、国家は衰退の道を歩むこととなる。

 コロナ禍は図らずも、そんな「社会の老化」の実態を浮き彫りにした。

 コロナ禍において過剰な自粛と萎縮が国民に広がったこと自体が、日本社会の「老化」を示す証拠である。

 科学的根拠に乏しく、合理的な説明がないまま中止や自制を求められても、「仕方ないよね」と従ってしまう。

 予定通り開催して感染者を出そうものなら、世間の批判の的になる。そんな危険を冒すよりも、最初から中止にしてしまったほうが無難である、といったネガティブな思考パターンに陥っているのだ。

 他人の行動がまわりの人々と違うことに口出しをする「同調圧力」も、「社会の老化」が進むほど強まっていく。

 思考が「老化」した人々にとって、旧来の価値観が"絶対"のモノサシとなりがちであり、それを遵守しない人たちへの攻撃性が増すのである。"自粛警察"やあらゆる地方の飲食店街で見られた、「県外の方は入店をお断りします」「当面は常連さんのみの営業といたします」といった店先の貼り紙は不寛容さの象徴だ。市役所が作成し、飲食店に配付していたところまであった。もはや合理的判断のかけらもなく、「社会の老化」以外に説明のしようがない。

 国民の平均年齢が「若い国」であれば、「実現し得る方策」を探そうと努力する。ところが、日本のように「老いた国」では"無難にやり過ごす"ことを重視する。もちろん、時には無難にやり過ごすことも"大人の知恵"となる場合がある。しかしながら、度を越せば社会にとっての害悪でしかない。

 現在の日本には、生産年齢人口が増加していた1990年代前半までのようなエネルギーが感じ取れない。