省エネハウス普及へ雪国新潟の挑戦、住宅に65万、太陽光発電設備に31・5万円補助も 深層リポート

AI要約

2050(令和32)年までの脱炭素化を掲げる新潟県は、家庭から排出される二酸化炭素(CO2)削減に向け、取り組みを強化している。

厳しい断熱性評価基準を設けた新潟県版雪国型ZEHの普及を加速するため、県雪国型ZEH推進協議会が設立された。

新潟県の取り組みが、2050年のカーボンニュートラル達成にどのように貢献するかが注目されている。

省エネハウス普及へ雪国新潟の挑戦、住宅に65万、太陽光発電設備に31・5万円補助も 深層リポート

2050(令和32)年までの脱炭素化を掲げる新潟県は、家庭から排出される二酸化炭素(CO2)削減に向け、取り組みを強化している。切り札とされる省エネルギー住宅「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の県内での普及を加速させるため、産学官に地元の金融機関も加えた「産学官金」からなる協議会を発足させ、導入の機運を盛り上げたい考えだ。地球温暖化への危機感は人により異なるため、家庭での排出削減は一筋縄ではいかないとされる。新潟県の取り組みの成否が注目される。

厳しい断熱性評価基準

令和3年度の県内での温室効果ガス排出量は約2300万トン(速報値)。うち、家庭からの排出は約350万トンと全体の約15%を占める。花角英世知事は「家庭で排出量が一番多くなるのは、暖房にエネルギーを使う冬。そこを抑えることができれば、2050年カーボンニュートラルに近づくと思う」としている。

その切り札として期待されているのが、県が断熱性能などで国より厳しい独自基準を設け、普及を進める「新潟県版雪国型ZEH」だ。

例えば、夏の暑さ、冬の寒さを室内に入れないように遮断する断熱性能(UA値=屋根や壁などが熱をどれくらい通しやすいかを示す数値)について、国のZEH認定基準では0・6以下だが、県の独自基準では地域により0・46以下または0・48以下と国より厳しい。暖房で消費するエネルギー量を減らすには、室内に入ってくる寒さを遮断し、室内の温もりをより逃がしにくくする必要があるためだ。UA値が小さいほど、断熱性能は高くなる。

■普及拡大のエンジンに

県は4月、新潟県版雪国型ZEHの普及を進めるため、住宅関連団体、金融機関、有識者、県内全30市町村で構成する「県雪国型ZEH推進協議会」を立ち上げた。会長には、豪雪地域でのZEH導入を研究する長岡技術科学大の上村靖司教授が就任。知事は「関係者が意識を合わせることで、雪国型ZEH普及拡大のエンジンになってほしい」と期待する。

協議会では、情報の共有や県民への雪国型ZEHの周知などが主な活動となる。