なんと[事故率]は晴天時の5倍だと!? [雨天時]のクルマの走り方は大丈夫?

AI要約

首都高速道路株式会社の調査によると、雨天時の事故件数は晴天時の約5倍にもなる。雨天時の事故原因や対策について考察する。

雨天時の事故では施設接触事故が多発し、タイヤのグリップ力低下などが要因として挙げられる。視界の悪さや車内の湿度も事故リスクを高める。

ドライバーは雨天時には十分な注意を払い、適切な対策をとることが重要。ウィンドウの曇り対策やヘッドライトの点灯、歩行者や自転車への注意も欠かせない。

なんと[事故率]は晴天時の5倍だと!? [雨天時]のクルマの走り方は大丈夫?

 首都高速道路株式会社の調査によると、雨天時の時間あたりの事故件数は晴天時と比べて約5倍にもなるという。要因として、視界の悪さやタイヤのグリップ力の低下などが考えられるが、今一度「雨天時の走り方」について考えてみたい。

 文/山口卓也、写真/写真AC

 雨天時の時間あたりの事故件数は晴天時の約5倍、夜間には視界がさらに悪化するため、深夜ともなると晴天時の約7倍にもなるという。

 この調査結果は「首都高速道路」の話ではあるが、一般道においても雨天時は晴天時に比べて圧倒的に事故発生率が高いのはいうまでもない。

 雨天と晴天では、起きやすい事故も違ってくる。

 晴天時では追突事故が事故全体の半分を占めるのに対し、雨天時は施設接触事故が圧倒的に多くなるという。この「施設接触事故」とは、他車や物、自転車、歩行者などに接触する交通事故のこと。事故の相手がケガを負った場合には「人身事故」、相手の損傷が物のみの場合は「物損事故」となる。

 雨天時では、1時間あたりの施設接触事故件数は10倍にもなるといわれるが、もちろん追突事故や車両接触事故も晴天時よりは圧倒的に高い。

 高速でカーブに進入し、グリップを失ったタイヤがスリップ。追い越し時の急加速でスリップ。路面のわだちにできた水たまりに進入してスリップ。急ブレーキを踏んでスリップ……などがある。

 大きくスリップしたことはなくても、高速道路の路面の継ぎ目で少しスリップしたり、濡れたマンホールのフタで少しスリップしたりしてヒヤッとした人なども多いだろう。

 降り始めにかなり減速して走るドライバーは少ないかもしれないが、降り始めこそ滑りやすいという事実もある。「あ、雨が降ってきた!」と思ったら、意識的に少し減速して走るのが有効だろう。

 雨天時はタイヤのグリップ力が失われやすく、スリップを誘発して事故につながることが容易に理解できる。このほかの理由としては

 ・視界が悪くなり、歩行者や自転車の認識が難しくなる

・周りがノロノロ走行していて、気持ち的にイライラする

 などがある。

 「視界が悪くなり、歩行者や自転車の認識が難しくなる」は、ゲリラ豪雨などのシーンを思い浮かべるかもしれないが、降り始めでワイパーを動かしていないような時にも視界は悪くなる。

 また、降雨によって車内の湿度が高くなり、結露によってウィンドウが曇って視界が悪くなる場合もある。

 対策として、「ワイパーは早めに動かす」「ウィンドウが曇り始めたら、フロントウィンドウの曇りを集中して除去するデフロスター(リアウィンドウの場合はデフォッガー)を稼働させ、エアコンを外気導入モードにして稼働させる」を行ってほしい。

 ウィンドウが曇りやすいという人は、ウィンドウ自体に埃や油汚れなどが付着していることも考えられる。濡れたウェスで拭いた後で乾いたウェスで水分を拭き取ったり、油膜除去剤などを使って日頃からウィンドウをきれいにしておく習慣をつけるといいだろう。

 また、ドライバーの視界が悪くなる雨天時はヘッドライトをオンにし、周りから認識されやすくすることも重要。

 雨天時の歩行者や自転車への接触事故では、「ぶつかるまでクルマが来ていることに気づかなかった」という人も多い。歩行者や自転車へ細心の注意を払って運転することはもちろん、自車の存在をきちんとアピールすることも事故を防ぐには有効である。

 「周りがノロノロ走行していて、気持ち的にイライラする」では、雨が降りそうな日は時間的な余裕を持って行動することがもっとも大事だろう。

 また、雨天時にイライラしたり不安になったりするのは、何も特別なことではない。雨天時は低気圧の状態であり、人体的には頭痛やめまい、神経痛などの症状を引き起こしやすい状況ともいわれているからだ。ただし、あまりに重い症状なら専門医に相談がベスト。