無人の「自動運転タクシー」普及へ年内にも規制緩和…政府、「移動の足」不足解消に向け

AI要約

政府は自動運転タクシー事業の規制緩和を年内にも実施する方針を打ち出した。

自動運転車の安全性確保や事故対応に関する取り組みも進められており、新たな方針が示された。

自動運転タクシーの普及を促進するため、政府は業界団体と連携し、検討を進める方針だ。

 政府は6日、首相官邸で「デジタル行財政改革会議」(議長・岸田首相)を開き、自動運転車を開発する自動車会社が無人の自動運転タクシーに参入しやすいよう、年内にも規制を緩和する方針を打ち出した。自動運転車の安全性確保のため、メーカーが満たす必要のある安全性能を、保安基準や指針で明確化する方針も示した。

 現行制度では、自動車会社が自動運転タクシー事業を始める場合、展開するエリアにあるタクシー営業区域のすべてで国土交通省の許可を得る必要がある。自動運転車を開発する自動車会社にとっては、許可を得る手続きが膨大になり、全国的な展開の足かせになる恐れが出ている。

 政府の新たな方針では、自動運転の専門性をもつ事業者が、既存のタクシー会社から関連業務を受託し、共同で運行する形を取れば、各エリアのタクシー事業の許可を取得しなくても自動運転タクシー事業に参画できるよう、規制を緩和する。

 業界団体のデータによると、タクシー運転手は2010年から21年の間に4割も減った。全国的な「移動の足」不足の解消に向け、政府は無人の自動運転タクシーの普及を後押しする。

 国内では、ホンダが米ゼネラル・モーターズ(GM)などと共同で、26年から無人の自動運転タクシー事業を東京都心部で始める計画がある。日産自動車やトヨタ自動車も自動運転タクシーの実現に向けた取り組みを進めている。

 また政府は、無人の自動運転車の安全性確保や、事故が起きた際の調査体制についても検討を進める。国交省などが自動運転車の保安基準などを明確化するほか、運輸安全委員会のような事故調査機関を設け、事故の再発防止や責任の判断に生かす仕組みを整える方針も示した。

 こうした施策を検討するため、国交省は新たに作業部会を設置し、自動運転タクシーに関する議論を集中的に進める方針だ。