楽天銀社長、円安で日銀は利上げせざるを得ない-収益にさらなる恩恵

AI要約

楽天銀行の永井啓之社長は、円安が続く中で日本銀行が10月までに利上げに動くと予想している。

楽天銀行は利上げによりさらなる収益向上が期待できるとしている。

楽天グループは金融事業を重要視し、楽天銀行の成功を目指して積極的な資金調達を行っている。

楽天銀社長、円安で日銀は利上げせざるを得ない-収益にさらなる恩恵

(ブルームバーグ): 楽天銀行の永井啓之社長は、外国為替市場で円安が続いていることを理由に日本銀行が10月までに利上げに動くと予想した。3月にマイナス金利政策が解除されて以降、追加利上げが行われれば、同行収益にもさらなる恩恵が及ぶとみている。

永井社長はブルームバーグテレビジョンのシェリ・アン氏とのインタビューで、日本経済を考えると大きな利上げをする環境にはないが、日銀は恐らく「遅くとも秋くらいにはもう一度利上げをせざるを得なくなる」と述べた。実現した場合、楽天銀としても「今以上にさらなるメリットを受けられる」との認識を示した。

親会社の楽天グループはモバイル事業での損失で5期連続の赤字を計上しており、銀行子会社を含む金融事業は同社にとって稼ぎ頭だ。楽天銀の株価は2023年4月の新規株式公開(IPO)以降、口座数の増加などによる好業績を背景に一時は公募価格の約2.5倍の水準まで上昇。楽天Gは楽天銀株の売り出しを2度にわたり行うなど、重要な資金調達手段になっている。

一方で永井社長は、日銀が25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を超える利上げを行った場合には「個人や企業で支払いができない人たちが出てくる」と指摘。デフォルト(債務不履行)の増加につながるなどマイナスの影響も出てくる可能性に警戒感も示した。ただし、楽天銀の与信審査では人工知能(AI)を活用しており、抑制が可能だという。

フィンテック再編

楽天Gは積極的に資金の確保に動いている。昨春の楽天銀上場や3000億円規模の公募・第三者割当増資の実施に加え、保有する全ての西友ホールディングス株を米投資ファンドのKKRに売却した。同じ金融子会社の楽天証券は、みずほ証券からの出資を受け入れた。楽天Gの開示資料によると、25年までに5450億円相当の社債償還を控えており、さらなる調達が課題となっている。

楽天Gと同社が49%の株式を持つ楽天銀は4月、証券、保険、カード会社などフィンテック子会社の再編で協議を開始した。再編の効力発生は10月を目指している。