離婚財産分与1570億円の調達はいかに…「オーナーリスク」現実化したSKグループ

AI要約

ソウル高裁がSKグループの会長に莫大な財産分与を命じる判決を下し、グループに衝撃が走った。

会長は株式を売却して現金を用意することで経営権を脅かされる可能性があり、持株を分けるリスクを回避するための戦略が求められている。

SKグループは財務的困難に立たされる中で、オーナーリスクも再び浮上している。

 SKグループのチェ・テウォン会長が「アートセンター・ナビ」のノ・ソヨン館長に財産分与として、1兆3800億ウォン(約1570憶円)を支払わなければならないというソウル高等裁判所の控訴審判決が出たことで、SKグループも衝撃に陥った。チェ会長はグループの持株会社であるSK(株)の株式17.73%を保有し、グループを支配しているため、株式を売却した場合、経営権が外部の攻撃に弱くなるからだ。SKグループは最近、二次電池分野など急激な事業拡大で財務的困難に陥っているが、いわゆる「オーナーリスク」まで再発し、二重の悪材料を抱えることになった。

 ソウル高裁家事2部(裁判長キム・シチョル)の30日の判決によると、チェ会長が保有するSK(株)の株式も財産分与の対象に含まれたが、ノ館長側の要請により財産分与金(1兆3800億ウォン余り)の現金支給が命じられた。ノ館長が2審でSK(株)の株式分与の代わりに現金支給に立場を変えたことで、チェ会長は持株を分けなければならない状況は免れた。

 チェ会長は今後SK(株)の株式を最大限処分しない方法を考えるものとみられる。これはチェ会長→SK(株)→グループの子会社につながる支配構造のためだ。SK(株)はSKテレコム(30.57%)、SKイノベーション(36.22%)、SKスクエア(30.55%)などの持分を保有している。最近、人工知能(AI)ブームに乗っている半導体会社SKハイニックスはSKスクエアの子会社だ。

 SK(株)がグループの中核だが、チェ会長と特殊関係人の持分は25.57%に過ぎない。チェ会長は1297万5472株(17.73%)を保有しており、持分価値は2兆514億ウォン(30日終値基準)だ。約1兆ウォン(1140億円)の現金を用意するために株式を売却した場合、経営権が脆弱になる恐れがある。少ない持分で大企業集団を構成する韓国の財閥支配構造の弱点が、今回の判決で再び露呈したわけだ。リーダーズインデックスのパク・ジュグン代表は、「チェ・テウォン会長のグループ支配力は今も盤石ではない。SK(株)の株は最大限売却しない方法を取るだろう」とみた。同日、ノ館長の勝訴のニュースが流れた後、SK(株)の株価は前取引日より9.26%急騰した1株当り15万8100ウォンの終値を記録した。

 チェ会長が現金を調達する方法としては、株式担保融資や非上場株式の処分などが考えられる。しかし、金融監督院の電子公示によると、チェ会長はすでにSK(株)の株式のうち749万9030株(2024年4月基準)に対して金融圏から担保付き融資および質権設定がされている。現実的に株式を預けて1兆ウォン以上の融資を受けるのは容易ではない。

 そのため、チェ会長が持っている非上場会社のSKシルトロンの株式(29.4%)に関心が集まっている。ハイ投資証券のイ・サンホン研究員は「チェ・テウォン会長は、SK(株)の持分を守るためにSKシルトロンなど非上場会社の株式を売却する案も考えるだろう」と語った。チェ会長のSKシルトロンの株式は買収過程で私益詐取疑惑があり、公正取引委員会が課徴金を賦課したが、裁判所がこれを取り消すなど、物議を醸した株だ。このほか、チェ会長はSKケミカル(6万7971株)、SKディスカバリー(2万1816株)、SKテレコム(303株)、SKスクエア(196株)などの系列会社の株式も保有している。

 チェ会長はひとまず最高裁(大法院)に上告することで時間を稼ぐものとみられる。チェ会長の弁護団は「原告は上告を通じて誤った部分を正す予定」だと述べた。

 SKには悪材料が重なった。SKオンなど系列会社の財務構造悪化で事業再編が急がれる状況で、オーナーが私生活による争いに巻き込まれたためだ。SKグループの総借入金規模は2019年の61兆ウォン(6兆9400億円)台から2023年には117兆ウォン(13兆3200億円)台に急増した。

チョン・スルギ、パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )