関西経済連合会の松本正義会長、総仕上げの1年…万博で手腕の評価高く続投論も

AI要約

関西経済連合会の松本正義会長が4期目の最終年に入り、来年の大阪・関西万博の成功に向けて奮闘している。

松本氏は経済界から高い評価を受けており、万博の資金調達や機運醸成に強力なリーダーシップを示している。

今後の会長続投に期待が寄せられており、後継候補として関西電力の森望社長が挙がっている。

 関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)(79)が27日、4期目任期の最終年に入った。誘致段階から関わってきた来年4月の大阪・関西万博の開幕に向け、総仕上げの1年となる。万博の資金集めなどで振るってきた手腕に対する関西経済界の評価は高く、会期中に迎える任期満了後の続投を求める声も上がっている。(升田祥太朗)

 松本氏は同日、大阪市内で開かれた関経連の定時総会で、「万博はラストスパートに入った。機運醸成を一層強化し、何としても成功させなければならない」と強調した。

 2017年に就任した松本氏は万博の誘致に尽力し、開催決定後は、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)の副会長として、経済界の資金集めなどに奔走してきた。4期目に入った昨年以降、開催経費の上振れといった課題が表面化し逆風が吹く中でも、強力なリーダーシップを発揮した。

 経済界に700万枚が割り当てられた前売り入場券の販売は、目標達成にほぼメドをつけた。関経連副会長企業に20万~15万枚の購入を要請する一方、住友電工グループとして30万枚の購入を決め、副会長企業や他の経済団体が購入する流れを作った。

 全国的な機運の盛り上がりが十分ではない中、万博協会内には「機運醸成委員会」を設け、自ら委員長に就任。この日の総会後の記者会見では、「関西以外の機運醸成がなかなか進んでいない」と述べ、首都圏の鉄道会社などを訪問し協力を要請する考えを示した。

 ただ、政府や万博協会、関連企業に対して苦言を呈する姿勢は、時にあつれきを生んできた。

 資材高などで一部海外パビリオンの建設業者が決まらず、今年2月には「建設会社はけしからん。万博を成功させようというコメントがない」と発言。大手ゼネコンでつくる日本建設業連合会幹部が「工期に間に合わせようと取り組んでいる現場の士気を下げる発言だ」と反発し、政府に抗議する事態となった。

 それでも、関西経済界では「今の関経連に松本会長から万博を引き継げる人はいない」との声は強い。来年5月頃までの4期目の任期満了後について、「続投への異論は聞こえてこない」(関経連幹部)という。後継には、同日、副会長に就いた関西電力の森望社長(61)を推す声もある。

 過去に4期を超えて会長を務めたのは、芦原義重氏(関西電力)と日向方斉氏(住友金属工業<現・日本製鉄>)の2人だけだ。5期目について、松本氏は「今は考えていない。徐々に皆さんと相談しながら決めていけば良いのではないか」と述べるにとどめた。