日中韓首脳会談、共同宣言に「定期開催」盛り込む…気候変動・経済・防災などで連携へ

AI要約

岸田首相と中国の李強(リーチャン)首相、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領がソウルで会談し、日中韓首脳会談の定期開催や連携強化を含む共同宣言を採択した。

共同宣言では、人的交流や気候変動への対応、経済協力などの6分野で協力プロジェクトを実施することが明記された。

また、法の支配や国際秩序へのコミットメントの再確認、北朝鮮問題への対応などが共同宣言に盛り込まれた。

 【ソウル=太田晶久、依田和彩】岸田首相と中国の李強(リーチャン)首相、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は27日、ソウルの青瓦台迎賓館で会談した。日中韓首脳会談の定期開催や、気候変動や防災など6分野での連携を盛り込んだ共同宣言を採択した。

 共同宣言では、「日中韓首脳会談と閣僚級会合を定期的に開催することで3か国協力の制度化に努める」とうたった。その上で、〈1〉人的交流〈2〉気候変動への対応などを通じた持続可能な開発〈3〉経済協力と貿易〈4〉公衆衛生と高齢化社会〈5〉科学技術協力とデジタルトランスフォーメーション(DX)〈6〉災害救援と安全――の6分野を中心に協力プロジェクトを実施するとした。岸田首相は会談後の共同記者発表で、「日中韓プロセスの再活性化を確固たるものとする重要な契機となった」と述べた。

 共同宣言には、「法の支配と国際法に基づく国際秩序に対する我々のコミットメント(関与)を再確認した」と書き込んだ。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮を念頭に、「朝鮮半島と北東アジアの平和と安定、繁栄維持が我々の共通の利益となり、我々の共通の責任であることを再確認した」とも明記した。

 ただ、朝鮮半島の非核化と拉致問題については、「それぞれ立場を強調した」との表現にとどまった。前回の日中韓首脳会談でまとめた共同文書には、「我々は朝鮮半島の完全な非核化にコミットしている」「拉致問題が可能な限り、早期に解決されることを希望する」との文言が盛り込まれていた。

 中国が交渉再開を求める日中韓の自由貿易協定(FTA)については、「実現に向け、交渉を加速していくための議論を続ける」と記した。人工知能(AI)などが生み出す物やサービスに関する知的財産権のルール作りについて協力するとの付属文書も発表した。

 日中韓首脳会談は2019年12月に中国・成都で開催されて以来、約4年半ぶり。次回は日本が議長国となる。