「イギリス製巡航ミサイルの使用容認を」 元国防相らが首相に迫る

AI要約

ウクライナ軍が英国製のミサイルを使いロシア領への攻撃を検討しており、元英国国防相らが首相に使用を認めるよう要請している。

米大統領は慎重な姿勢を示しており、英国は独自で判断すべきだと主張している。

ウクライナやロシア双方の立場や状況、関与国の意向について概説されている。

「イギリス製巡航ミサイルの使用容認を」 元国防相らが首相に迫る

 ウクライナ軍が英国製巡航ミサイル「ストームシャドー」をロシア領への攻撃に使うことの是非を巡り、英国の国防相経験者らがスターマー首相に対して「早期に使用を認めるべきだ」と要請した。英紙タイムズ(電子版)が14日伝えた。戦火拡大を懸念するバイデン米大統領は使用に慎重とされるが、元国防相らは、米国の支持がなくても「英国単独で判断」するよう求めているという。

 スターマー氏に使用容認を迫っているのは、シャップス、ウォレス、ウィリアムソン、モーダント、フォックスの元国防相5人にジョンソン元首相を加えた計6人。「行動しなければプーチン露大統領を増長させてしまう」「米国の承認を待つより、ウクライナのゼレンスキー大統領が必要とするものを今すぐ提供すべきだ」などと訴えている。

 ストームシャドーは射程が250キロに及ぶ強力な長距離巡航ミサイルで、英国が昨年、ウクライナに供与した。これまではクリミア半島などウクライナ領に侵攻するロシア軍に対してのみ使用し、ロシア領内で使うことはなかった。

 ウクライナ側は、ロシア領攻撃についても「すぐ使用したい」(ポドリャク大統領府長官顧問)との立場だ。しかし英国は、使用の際は共同開発したフランスに加え、米国の同意も得る必要があるという。

 スターマー氏は13日にバイデン氏とワシントンで会談したが、結論は出なかった。英メディアによると、バイデン氏は9月下旬の国連総会でゼレンスキー氏と会談するまで、判断を保留する構えという。

 一方、プーチン氏は「(西側兵器がロシア領内で使用されれば)ロシアとNATO(北大西洋条約機構)が直接軍事衝突することになる」と述べ、使用された場合は報復することを示唆している。【ロンドン篠田航一】