イランで逮捕された女性「脇腹も背中も化膿」「乳首から黒い汁が」…女性刑務所で行われる「鬼畜の所業」

イランでは「好きなことを言って、好きな服を着たい！」と言うだけで思想犯・政治犯として逮捕され、脅迫、鞭打ち、性的虐待、自由を奪う過酷な拷問が浴びせられる。2023年にイランの獄中でノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディがその実態を赤裸々に告発した。

上司の反対を押し切って担当編集者が日本での刊行を目指したのは、自由への闘いを「他人事」にしないため。ジェンダーギャップ指数が先進国最下位、宗教にも疎い日本人だからこそ、世界はつながっていて、いまなお闘っている人がいることを実感してほしい。

世界16カ国で緊急出版が予定されている話題作『白い拷問』の日本語版刊行に先駆けて、内容を一部抜粋、紹介する。

『白い拷問』連載第8回

『医者も看護師も一緒になって尋問…「長時間の拷問」で倒れた女性が運ばれた「イラン刑務所の病院」がヤバすぎる』より続く

語り手:ニガラ・アフシャルザデニガラ・アフシャルザデ(1978年生まれ)はトルクメニスタン市民である。2014年にマシュハドにてスパイ容疑で逮捕され、5年の禁固刑に処された。ニガラはエヴィーン刑務所の209棟の独房で1年半を過ごし、その後、女性刑務所に移送された。

――いつ、どのように逮捕されましたか？

私は2014年1月6日、マシュハド[イラン第二の都市]でふたりの男とふたりの女に逮捕されました。私は6歳と8歳の子どもと一緒に道を歩いているところでした。イランへは娘に会いに来ていました。娘の父親とは別れていたのですが、彼から電話があり、娘を引き取ってトルクメニスタンに連れて帰ってほしいと言われたのです。

イランに着いたとき、それが罠だったと分かりました。私は幼い子どもふたりと町なかで逮捕されました。引き離されたとき、子どもたちがどうなるのか分かりませんでした。尋問官には子どもたちを孤児院に入れたと聞かされました。

――逮捕されてどこに連れて行かれましたか？

独房に入れられました。独房は暗く、毛布は1枚しかありませんでした。その独房に一昼夜いました。翌日、彼らがやって来ました。頭に袋を被せられそうになり、私は抵抗しました。そんなことはさせませんでした。

車に乗せられると、頭を膝の上に押さえつけられ、外が見えないようにされました。独房にいる間、食べ物は与えられず、飛行機に乗せられて初めて食事が出ましたが、何も喉を通りませんでした。

――テヘランに着いてから、どこに連れて行かれましたか？

目隠しをされていたので、途中は分かりません。目を開けると独房でした。頭の上にはふたつの電球がついていました。部屋の横幅いっぱいに薄い絨毯が敷かれ、毛布が3枚ありました。

そこは諜報治安省の管轄であるエヴィーン刑務所の209棟、3番通路の独房でした。独房に入れられている間、廊下に人の気配はなく、声もしない、房のドアの開け閉めの音もしませんでした。廊下にいる唯一の生き物といえば、気味悪い大きなゴキブリが何匹かでした。