ロシア軍、投降するウクライナ兵を殺害か 映像入手

AI要約

ウクライナのドローンが捉えた映像には、ロシア兵がウクライナの投降兵を処刑する様子が映し出されている。ウクライナ検察はこれを戦争犯罪と位置付け、捜査を続けている。

ウクライナ当局者によると、ロシア兵による投降兵の殺害は増加傾向にあり、昨年から今までの事例では計62人のウクライナ軍要員が殺害されたという。ウクライナはロシアの残忍な戦術に対抗している。

ウクライナ政府はロシア政府を戦争犯罪の首謀者として非難し、このような行為を行う指揮官の命令があったと主張しているが、ロシア側からの回答は得られていない。

ロシア軍、投降するウクライナ兵を殺害か 映像入手

(CNN) 姿を現した兵士たちはふらつく足取りで埃(ほこり)っぽい道路の中央に歩み、ひざをつく。両手は頭の上に載せられている。その数秒後、兵士たちはうつぶせに倒れて動かなくなり、付近にほこりが漂う――。ウクライナのドローン(無人機)が捉えた映像だ。

CNNが独占入手したこの動画は8月後半、ウクライナ東部ポクロウシク近郊の戦闘で撮影された。映像に映るロシア兵は塹壕(ざんごう)を制圧した後、ウクライナの投降兵3人を処刑しているとみられる。

こうした処刑とみられる行為は今年、ペースが増えている様子だ。説明に当たったウクライナ当局者は、部隊の身元を保護するため一部詳細については報道を控えるよう求めた。 

ウクライナ国防情報当局の情報筋はCNNに対し、前線で投降したウクライナ兵が捕虜にされず、ロシア軍に殺害されたとする昨年11月以降の事例15件のリストを提供した。その大半についてはドローン映像や音声の傍受による裏付けがある。

ウクライナ検事総長によると、検察は開戦後に起きたこうした事例28件について捜査しており、死亡したウクライナ軍の要員は計62人に上るという。

ポクロウシク地方で撮影された映像には、ウクライナ東部へ進軍を続けるロシア軍の容赦ない残忍な戦術が映し出されているとみられる。

ロシア南西部クルスク州でのウクライナの最近の進軍を受け、ロシアが自国国境の防御に兵力を振り向けざるを得なくなる展開を期待する声も出ているが、ロシアは依然としてウクライナの戦略拠点ポクロウシクへじりじり接近している。

ウクライナ検察はCNNの取材に、投降兵の殺害は戦争犯罪であり、ロシア政府が統括する方針の一環だと説明。コスティン検事総長は「もし戦争捕虜が投降するか投降の意思を示し、その手に兵器が握られていないのであれば、即決処刑は戦争犯罪になる」との見解を示した。

コスティン氏は、このような犯罪はウクライナ各地で様々な部隊によって実行されていると主張する。このためウクライナ政府は「こうした方針が人道に対する罪に当たる可能性があると主張する機会を得ている。この方針はロシア大統領府が統括している。特定の指揮官の命令だ」としている。

CNNは投降兵殺害の疑いに関してロシア国防省にコメントを求めたものの、回答は得られていない。