【解説】「国際刑事法システムに深刻な打撃」プーチン大統領モンゴル公式訪問も逮捕見送りで事前合意か ウクライナ政府は批判

AI要約

ロシアのプーチン大統領がモンゴルを訪問し、ICCからの逮捕状をモンゴルが見送ったことによりウクライナ政府が批判している。

モンゴルはエネルギー面でロシアに依存しており、両国は戦略的なパートナー関係にあるため、逮捕を見送ったとされる。

ICCの実効性に限界が生じており、国家元首には逮捕されない特権も存在し、今回の件からプーチン大統領の逮捕は現実味が薄いとされている。

【解説】「国際刑事法システムに深刻な打撃」プーチン大統領モンゴル公式訪問も逮捕見送りで事前合意か ウクライナ政府は批判

3日、ロシアのプーチン大統領がモンゴルを訪問し、首脳会談が行われた。

プーチン大統領にはICC(国際刑事裁判所)から戦争犯罪の疑いで逮捕状が出ているが、ICC加盟国のモンゴルは逮捕を見送る合意をしていたとされる。

これに対し、ウクライナ政府は強く批判している。

ロシア・プーチン大統領のモンゴル公式訪問を、ウクライナ政府が批判している。

プーチン大統領は3日、モンゴルのフレルスフ大統領と首脳会談を行った。

プーチン大統領には、ウクライナ侵攻に関連する戦争犯罪の疑いで、ICCから逮捕状が出ている。

ICC加盟国のモンゴルには逮捕や身柄引き渡しの義務があるが、逮捕しないことでロシア側と合意していたものとみられる。

ウクライナ政府は、「国際刑事法システムに深刻な打撃を与えた」と批判している。

モンゴル経済にとってロシアは重要で、石油と石油製品の90%以上をロシアからの輸入に頼っている状況だ。

ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。

青井実キャスター:

ーーモンゴルは、ICCの加盟国ですが、逮捕しないと事前に合意していたのではということですね?

立石修解説委員室長:

モンゴルは、ロシアと中国という2つの巨大な隣国の間で、バランスを取る必要があります。モンゴルが、エネルギーのほとんどをロシアに依存している一方で、ロシアもモンゴルのウランや金などに関心を持っているため、両国は戦略的なパートナー関係にあります。

活発に首脳がお互いの国を行き来していて、これまでにプーチン大統領も3回訪問しています。今回のモンゴル側の対応は、こういった関係に配慮したものとみられます。

青井キャスター:

ーーそれでは、ICCの意味がなくなってきますよね?

立石解説委員室長:

実効性での限界が見えてしまったという印象です。同様のケースはこれまでもありました。2015年に、逮捕状の出ていたスーダンの元大統領が南アフリカを訪問しましたが、逮捕されることはありませんでした。国際慣習法では、国家元首は逮捕されない特権もあり、プーチン大統領の逮捕は現実味がない状態です。

青井キャスター:

ーープーチン大統領はいろんなところへ行って、やりたい放題ということですか?

立石解説委員室長:

そうですね。気になるのは、ウクライナがロシア領内に大規模なドローン攻撃を仕掛けていて、ロシアが劣勢にも見えます。しかし、アメリカの戦争研究所は「ウクライナが前進した形跡はない」とみています。

一方で、ロシアの進軍が加速しているという情報があります。9月1日の新学期初日にはキーウにも空爆し、学校などに被害も出ています。こういったところをみると、外交面・軍事面でプーチン大統領が攻勢をかけている印象です。

(イット!」 9月3日放送より)