恐竜を絶滅させた小惑星、正体は巨大な泥団子か 研究結果

AI要約

約6600万年前にメキシコのチクシュルーブに小惑星が衝突し、恐竜を含む多くの動物が絶滅した。新しい研究では、衝突した小惑星が太陽系初期の物質を含んだ珍しい泥の玉であることが示唆された。

小惑星の熱によって生成された塵の雲が世界中に広がり、気温の低下や光の遮断により大量絶滅が起こった。小惑星は3種類に分類され、コンドライト隕石のような炭素質であると考えられている。

最新の研究では、ルテニウムの化学組成を調査し、小惑星の正体を特定した。水と粘土を含む炭素質コンドライトの小惑星が恐竜の絶滅を引き起こした可能性が示唆されている。

恐竜を絶滅させた小惑星、正体は巨大な泥団子か 研究結果

(CNN) 6600万年前に現在のユカタン半島、メキシコのチクシュルーブに小惑星が衝突した影響で、ほとんどの恐竜を含む推定75%の動物種(鳥類を除く)が絶滅した。

今月15日付の科学誌「サイエンス」に掲載された新しい研究から、地球の5回目の大量絶滅を引き起こした小惑星の化学的正体は、太陽系初期の物質を含んだ粘土質の珍しい泥の玉だったことが示唆された。

このチクシュルーブに衝突した太古の宇宙岩石について学ぶことは、太陽系のダイナミックな性質を理解するうえで重要であると、同研究の共著者でブリュッセル自由大学の化学研究教授であるスティーブン・ゴデリス博士は述べた。

1980年、科学者らは巨大な宇宙岩石との衝突が恐竜の絶滅につながったという仮説を立てた。当時、研究者らが発見したのは小惑星そのものではなく、世界中にある6600万年前の岩石から見つかった金属イリジウムの薄い層だった。

91年、科学者らはチクシュルーブ・クレーターが恐竜の絶滅と同時期に起きた小惑星衝突の痕跡であることを突き止めた。

この小惑星は巨大で、直径は約9.7~14.5キロメートルだったと思われる。だがその巨大さゆえに、ほとんど消滅してしまった。米航空宇宙局(NASA)によると、小惑星はエベレスト山とほぼ同じ大きさで、地球に向かって秒速25キロメートルの猛スピードで突進した。

この運動エネルギーはすべて熱に変換され、小惑星は標的に衝突すると、爆発するだけでなく蒸発する。衝突によって生成された塵(ちり)の雲は世界中に広がり、何年もの間、太陽光は遮られ、気温も低下し、大量絶滅をもたらした。

小惑星は、金属質、石質、コンドライト質の3種類に大きく分類され、それぞれ独自の化学的・鉱物的組成を持っている。新しい研究では、ゴデリス氏と、同研究の主著者である独ケルン大学のマリオ・フィッシャー・ゲッデ博士を含む研究チームが、小惑星の秘密を解き明かすために薄い粘土層の化学組成を調べた。

デンマーク、イタリア、スペインから6600万年前の岩石を採取し、金属ルテニウムを含む部分を分離したほか、他の小惑星衝突地点や隕石(いんせき)のルテニウムも分析した。その結果、6600万年前のルテニウムの化学組成が、ある種のコンドライト隕石に含まれるルテニウムの化学組成と一致していることを発見した。

つまり恐竜を絶滅させた小惑星は、水、粘土、有機(炭素含有)化合物がしばしば含まれる太古の宇宙岩石、炭素質コンドライトであったと考えられる。