知ってはいけない、世界の《残酷な常識》日本人は知らない…スイスがじつはヨーロッパの人たちから嫌われている理由「アルプスの少女ハイジ」とは程遠かった

AI要約

スイスは永世中立国という理想像とは異なり、外国資金の集積や軍事力の維持などで独自の国家戦略を展開している。

スイスでは高度な金融サービスと秘匿性を提供する銀行が外国の有力者や独裁者から多くの資金を集めている一方、軍事面では男子国民皆兵制を採用し強力な軍隊を有している。

過去のカルヴァン派の恐怖政治に起源を持つ厳格な規則や農業補助金を通じて、今もなおスイスは独自の国家観を維持している。

知ってはいけない、世界の《残酷な常識》日本人は知らない…スイスがじつはヨーロッパの人たちから嫌われている理由「アルプスの少女ハイジ」とは程遠かった

スイスは理想的な「永世中立国」なんて絵空事。彼らは外国人を利用だけ利用して自国の富を増やし続けている。「アルプスの少女ハイジ」の舞台のようなそんな長閑(のどか)な国ではありません!

スイスの銀行は、高い金融サービスとその秘匿性で海外の有力者や独裁者などから多くの資金を集めている。一方、軍事に関しては男子国民皆兵制で、小さい国ながら強い軍隊を保持している。

スイスの国の守りは極めて堅固だ。スイスは永世中立国ならぬ「武装中立国」なのだ。

ドイツ在住のベストセラー作家・川口マーン惠美氏と青山学院大学教授・福井義高氏が、小国ながら「武装中立国」を堅持するスイスの国家観について語り合う。

※本記事は、『優しい日本人が気づかない 残酷な世界の本音―移民・難民で苦しむ欧州から、宇露戦争、ハマス奇襲まで』より一部を抜粋編集したものです。

福井義高(以下福井):私はどこの国と比べても、少なくとも私にとって日本はいい国だと思っているので、特定の外国を理想化することには懐疑的ですが、「狡さ」という点ではスイスに学ぶべき点は多い(笑)。ヨーロッパの人はスイスが嫌いでしょう。

川口マーン惠美(以下川口):嫌いですね(笑)。ドイツ人の皮肉として有名なのは、「スイスは素晴らしい。スイス人さえいなければもっと素晴らしい」とか、「我々の(悪い)性格をさらに徹底すれば、スイス人ができ上がるだろう」などという、ドイツ人特有の自虐ギャグもあります。

福井:実際のスイスは、日本人が抱いている理想化された「永世中立国」のイメージとはぜんぜん違います。彼らは外国人を利用するだけ利用する。

川口:スイスの銀行は高い金融サービスと秘匿性を提供しているため、海外の有力者や、独裁者などの多くの資金が集まっています。

最近は、国際的な圧力で少し透明になってきたとはいえ、それでも、秘匿を守るための法律もあり、まだまだ守秘義務は徹底しています。

ただそれをいいことに、預金者がいなくなると、預金を自分のものにしているともいわれています。特に、第二次大戦前にユダヤ人が預けた莫大なお金が、そういう運命を辿ったと。

福井:本当のところはわかりませんが、少なくともそう思われていますね。

川口:スイスというのは16世紀にプロテスタントの一派であるカルヴァン派がジュネーブを支配し、それがとにかく凄まじい恐怖政治だったといいます。

カルヴァン派の教義は「予定説」と呼ばれ、すべては神によって定められている。つまり、天国に行く人間は、「予定通り」難なく天国に行けるのです。

ただ、そう言われると人々は不安になり、自分の救済を確信するため、行動にプレッシャーをかけるようになります。

そうするうちに、食欲、性欲、物欲など快感に結びつく行動すべてにブレーキがかかり、それは罪となり、罪を犯さないための監視が始まり、それがさらにエスカレートして、密告の蔓延る凄まじい監視政治となっていったといいます。私の思うに、この根底にあるのが性悪説で、日本人は性善説ですから正反対です。

カルヴァン派の恐怖政治は長くは続きませんでしたが、勤勉と禁欲の習慣は人々の心に刻まれ、その結果、スイス人は財をなしたわけですが、今も面倒な規則が多い。

ゴミ出しやら、車の駐車やら、いろいろなことが厳格に決められ、それを皆が忠実に守る。そういえば、アルプスの峰に囲まれた壮大な風景も、観光資源として国が高額な補助金を出して維持しています。

つまり、スイスというのは、私たちが想像する「アルプスの少女ハイジ」の舞台のような長閑な国とは、だいぶ違うのです。

福井:世界でもっとも農業補助金が多い国の一つがスイスです。スイスの美しく整えられた田園風景は、農業のためではなく観光用です。

日本人も田園風景が心のふるさとだと考えるのであれば、ほとんど兼業でやっているだけの農家に生産活動としてではなく、文化財保護の委託業務、あるいは自治体職員として採用し公務としてやってもらうことを真剣に検討するべきでしょう。

川口:でも、日本はスイスみたいに寒くて山ばかりで農業に向いていない国とは違います。温暖で、江戸時代から開墾し、治水をおこなってきた肥沃な農地があるのですから、もっとちゃんと農業をした方がいいと思います。

高級果実よりも、まずは国民の食べるお米を作る。夏の間に羊を飼うしかすることがないスイスとは違って、若い人に参画してもらって、機械化を進め、効率的な、究極の近代的農業を営むっていうのはどうですか。

ただ、悔しいかな、山ばかりでも、今やスイスはお金持ちですね。一人当たりのGDPはスイスが世界第2位で、日本が26位。

ちなみに26位というのは、財政破綻国フランスよりも低く、それどころか、その混沌さのあまり“白いインド”と陰口を叩かれているベルギーよりもさらに低い。なんでこうなるのですか!