中国主導のLFPバッテリー時代開かれるか…韓国のMidニッケルバッテリーにも注目

AI要約

韓国のバッテリー業界は安全性が重要視され、火災事故により技術開発方向が変化する可能性がある。

LFPバッテリー市場が注目され、中国が主導しており価格が安く、安全性が高いと評価されている。

韓国企業はMidニッケルバッテリーの開発に取り組み、安全性と性能の向上を目指している。

1日に仁川青羅(インチョン・チョンラ)で発生した電気自動車火災により韓国バッテリー業界の技術開発方向に変化が起きるか注目される。1回の充電時の走行距離や価格競争力に劣らず、バッテリーの安全性が消費者の選択の核心基準として浮上したためだ。最近海外市場を積極的に攻略する中国企業の場合、自国外の成長率が鈍化するという見通しも出ている。

バッテリー業界によると、韓国のバッテリー業界はこれまで1回の充電時の走行距離を増やすためにエネルギー密度を向上する技術開発に集中してきた。エネルギー密度が高いほど充電頻度が低くなりプレミアム製品と認められた。

問題は走行距離を増やすためにニッケル・コバルト・マンガン(NCM)バッテリーでニッケル含有量を高めるほど安定性が低下する恐れがあることだ。今回青羅のマンション地下駐車場で火災が起こったベンツには中国ファラシスのNCMバッテリーが搭載されていたという。電気自動車火災の原因は明確に究明されてはいないが、消費者の不安から電気自動車需要が急減しているだけに自動車メーカーもバッテリーメーカーに安全性強化を要求する可能性が大きい。

◇中国が主導したLFP、安全で低価格

安全性がバッテリー製品競争力で重要になるほど、リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー市場には弾みがつく。LFPバッテリーは1回の走行距離はNCMバッテリーより短いが、ニッケルとコバルトを含まず価格が安く、内部陰イオン構造上、熱安定性が高い。すでに欧米市場で中低価格電気自動車にLFPバッテリーを搭載する需要が増加しており、韓国バッテリー業界も中国が主導してきたLFP市場に後発走者として飛び込んだ状態だ。サムスン証券のチャン・ジョンフン研究員は「テスラ、ゼネラルモーターズ、フォードなど主要自動車メーカーがLFPバッテリーを採択したり検討している。中型以下の電気自動車ではLFPバッテリーの割合が高くなるかもしれない」と予想する。

LFP選好度が大きくなれば笑うのは中国だ。韓国対外経済政策研究院によると、世界のLFPバッテリーの95%が中国で生産されている。韓国のバッテリー企業はこれまでNCMバッテリーを主導的に開発してきた。自動車融合技術院のイ・ハング院長は「短期的には安全なLFPが脚光を浴びるだろうが、韓国としては中国の技術が国際標準になることを警戒しなければならない。韓国バッテリー企業は時々刻々と変わる市場状況と規制を確認し総合的に備えなければならないだろう」と話した。韓国バッテリー企業関係者は「LFPは中国が素材・部品・装備生態系まで主導しており牽制しなければならない」と話した。

◇韓国企業、Midニッケルバッテリーにスピード

韓国企業はニッケルの割合を50~60%に下げたMidニッケルバッテリーの開発にスピードを出している。ニッケルの割合を下げながらもエネルギー密度を高められる技術を開発し安全性と性能の2匹のウサギを両方つかまえるという目標だ。LGエナジーソリューションは熱安全性を30%以上高めた高電圧Midニッケルバッテリーの量産を急いでいる。漢陽(ハニャン)大学エネルギー工学科のソン・ヤングク教授は「LFPでは走行距離を増やすのに限界がありプレミアム電気自動車には適していない。今後走行距離と安全性の両方を確保する企業が市場主導権を握るだろう」と話した。

◇中国バッテリーの急成長

世界のバッテリー市場で中国企業の成長は鈍化していない。市場調査会社SNEリサーチによると、最近中国企業は中国以外の市場でも大きな成長率を記録しシェアを拡大している。上半期に世界市場で27.4%を占めた世界1位のCATLは昨年上半期より電気自動車への搭載量が12.1%増加した。CATLは現代自動車「コナ・エレクトリック」第2世代、テスラなどをはじめ多様な非中国企業の電気自動車に搭載されており、ハイブリッド車に使われる二次電池市場でも中国を除く世界で2位を占めている。上半期にCATLの海外売り上げは505億元(約1兆円)で全売り上げの30.3%を占めた。

残りの中国企業も勢いよく浮上している。昨年テスラを押さえた電気自動車メーカーであり中国2位のバッテリーメーカーであるBYDも上半期の使用量が昨年上半期より144.8%増加し非中国市場でシェア3.7%で6位を占めた。昨年上半期にシェア0.5%にも満たなかった中国国営バッテリーメーカーのCALBは同じ期間に使用量が604.2%増加し10位圏内に上がってきた。今回の火災原因車両に搭載されたというファラシスもやはり同じ期間に使用量が108%増加した。韓国バッテリー企業が1桁の増加率にとどまったのと比較すると大きな格差だ。

バッテリー業界関係者は「バッテリーは長期契約で火災事故がシェアにすぐ影響を与えることはないがメーカー公開と安全性強化などの流れにより韓国の自動車メーカーは中国企業より韓国企業のバッテリーを搭載しようとする傾向が強まるかもしれない」と話した。