【コラム】2次入隊を勧める中国社会

AI要約

中国で2次入隊が勧められる背景には、台湾解放や青年失業問題の解決があるとされている。

中国の経済が厳しい状況にある中、民営企業の活力喪失が内需や就職に悪影響を及ぼしている。

中国政府は民営企業の活性化に向けた取り組みを行っているものの、企業家の支持回復には課題が残る。

この夏、中国で2次入隊を勧める内容が人民日報など中国国営メディアやソーシャルメディアなどに大々的に掲載され、関心を集めている。台湾解放という統一戦争を控えて軍事力を拡充するレベルなのか、それとも青年失業問題を解決するための就職対策の一環なのかなどと、さまざまな声が出ている。米国は疑いの視線を向けている。デビッド・トレチテンバーグ元米国防次官は「2次入隊は中国の戦略的総動員の一部分ではないか」と解釈する。

しかし米国に居住する中国の反体制人物の魏京生氏は戦闘力の強化よりも就職難を解決する目的とみている。中国は現在、兵力資源が不足した状態でないということだ。また2次入隊者の分布が陸軍、海軍、空軍を問わず幅広いため、特定の兵種を強化するレベルでもないからだ。それよりも昨年20%を超える最高の青年失業率になるほど厳しい就職難を解消するための性格が強いということだ。

中国の一部の大学が最近、修士学制を1年延長したのも同じ脈絡とみられる。西安外国語大学、広州師範大学などは7月、一部の学科の修士学制を2年から3年に伸ばすと明らかにした。修士卒業後にも就職できない青年が増え、卒業を1年猶予する政策を準備したのだ。今月初めの香港明報によると、中国の31省・市・自治区のうち23カ所が年初に設定した上半期のGDP目標を達成できなかった。

それだけ中国経済が厳しいということだ。なぜこのようになったのか。2018年に中国で「民営企業退場論」が出てきたのが決定打とみられる。当時、中国インターネットには「中国の私営経済は共有経済の発展を助ける任務を完成したため徐々に退場するべき」という内容の文が広まった。その後、アリババの馬雲(ジャック・マー)氏が追い出されたのを筆頭に、改革開放の象徴的な存在だった中国の民営企業は活力を失った。

中国で民営企業はどういう存在なのか。よく56789と説明される。民営企業が中国税収の50%以上、GDPの60%以上、技術革新の70%以上、都市就職の80%以上、企業数の90%以上を占めるということだ。都市勤労者の80%以上の雇用を創出していた民営企業が活気を失っただけに、中国経済が難関に直面するというのは見方によっては当然のことだ。就職できないため内需も活性化しない。

中国当局は最近、「民営経済促進法」などを出して全力を注いでいるが、一度背を向けた中国の企業家の心を変えるには力不足とみられる。

ユ・サンチョル/中国研究所長・チャイナラバ代表