イタリア、富裕層の一律税率2倍に 年20万ユーロ

AI要約

イタリア政府は、税務上の居住地を同国に移した富裕層の海外所得に適用されていた「フラットタックス」の税率を2倍に引き上げることを承認した。

フラットタックスは、2017年に導入され、経済の活性化を図るために富裕層を引き付けるために設けられた税制だったが、イギリスの「ノン・ドム」税制の廃止後、イタリアは税制見直しを進めている。

税率の引き上げは今後の納税地移転者にのみ適用されることとなっている。

イタリア、富裕層の一律税率2倍に 年20万ユーロ

Marta Di Donfrancesco Angelo Amante

[ローマ 7日 ロイター] - イタリア政府は7日、税務上の居住地を同国に移した富裕層の海外所得に一律に適用している「フラットタックス」の税率を2倍に引き上げ、年間20万ユーロ(約21万8220ドル)とすることを承認した。

イタリアに納税地を変更した富裕層にとって有利なフラットタックスは、2017年に当時の中道左派政権が導入。低迷する経済の活性化に向け、巨額の消費を行う富裕層を引き付けたいとの思惑があった。

ジョルジェッティ経済財務相によると、こうした税制でこれまでに1186人が納税地を移転した。ただ、英国が税務上の居住地を国外に置く人を優遇する「ノン・ドム」税制の廃止を決めて以降、イタリアは自国の優遇税制を厳格に精査している。

ジョルジェッティ氏は記者団に「20カ国・地域(G20)や主要7カ国(G7)の会議でも話した通り、われわれは個人や企業に対するタックスヘイブン(租税回避地)の創出で他国と競争することに反対だ。イタリアのような財政上の余地に限りがある国は、競争に敗れるだけだ」と強調した。

税率の引き上げは今後納税地をイタリアに移す人が対象。既に移転している人には適用されない。