1件50億円以上...世界最高峰のリゾート地から学ぶ「富裕層の世界」と「ニセコ」

AI要約

北海道ニセコは世界中の富裕層が訪れる高級リゾート地となっており、その成功の背景にはどんな戦略があるのかを探る。

米国のベイルやクーシュベルのような世界のトップリゾート地と比較しつつ、ニセコの特異な生存戦略や不動産投資について探求する。

リゾート地としてのニセコの魅力や成功の要因を考察し、日本の観光に必要な要素についても考える。

1件50億円以上...世界最高峰のリゾート地から学ぶ「富裕層の世界」と「ニセコ」

今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。

*『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。

『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第38回

『それでもニセコは世界31位...世界の圧倒的なリゾート地とは異なる「ニセコの生存戦略」』より続く

米国コロラド州にあるベイルは、世界のスキーリゾートの中でもトップクラスとされる。標高3000mに広がる、初級から上級まで楽しめる250以上もの広大なコースレイアウトがあり、1週間滞在しても滑りきれないほどだ。

マリオット・マウンテンリゾート、フォーシーズンズリゾート・ベイル、ザ・リッツ・カールトン・クラブ・ベイルなど5つ星ホテルに加え、世界的な高級日本食レストラン「NOBU」で有名な松久信幸のレストラン「Matsuhisa Vail」も構える。

このため、ベイルで別荘やコンドミニアムを持つことは米国の富裕層ではステータスの一つとされ、絶大な人気を誇っている。

実際、不動産価格も世界最高水準の価格帯で推移している。

たとえば、Apogee Houseと名付けられた6ベッドルーム7バスルームを持つ巨大な別荘は、モダンコンテンポラリーな外観とインテリアで統一され、自動開閉式のスタイリッシュな屋外温水プール、人工滝付きのスパ、高級車4台分の室内ガレージ、バイオエタノール暖炉、床暖房付き屋外デックなど、最頂点(apogee)という名にふさわしい最先端の超豪華な別荘だ。

サザビーズによれば、4500万ドル、なんと50億円近い値段で売りに出されている(2020年8月時点)。恐るべし米国の富裕層マーケット。上には上があるものである。

クーシュベルは、アルプス山脈のトロワバレーと呼ばれる世界最大級の広大なリゾートエリアを形成している。クーシュベルとはいくつかの集落の総称であり、1992年のアルベールビル冬季五輪のスキージャンプ会場となった「クーシュベル1300」や「クーシュベル1550」「クーシュベル1650」「クーシュベル1850」がある。

クーシュベル飛行場は、山間部にあり世界でも着陸が難しい空港の一つとされるが、スキーシーズンは、世界各国の富裕層を乗せたプライベートジェットやヘリコプターで賑わう。街の中心部には、ルイ・ヴィトン、エルメス、シャネル、ブルガリ、モンクレールなどのブランド店やギャラリーが並び、ミシュランの星を持つレストランも多くある。