なぜ今?冷戦後“最大規模”24人の身柄交換 米ロの思惑は
アメリカとロシアが24人の身柄交換を行い、それぞれの大統領が歓迎の言葉を述べた。バイデン大統領とプーチン大統領は外交的な勝利として取り上げ、西側諸国と合わせた7カ国が交渉に関与した。
交渉の中心には、ロシア連邦保安庁の元工作員であるワジム・クラシコフ氏の解放があり、プーチン政権にとって重要な要素となった。
アメリカでは、バイデン大統領とハリス副大統領が交渉に参加し、民主党政権の安定的な関係構築を示唆する良い機会となった。
ロシアや欧米などに収監されていた24人の「身柄交換」。なぜ今なのか。両大国の思惑があるようです。
ロシアで拘束されていた、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者らアメリカ人3人の帰国を出迎えたバイデン大統領。
ホワイトハウスに釈放された3人の家族らを招き、その成果を強調しました。
アメリカ バイデン大統領
「これは外交と友好の偉業です。友好です」
一方、ロシアのプーチン大統領も、自らタラップ下で釈放されたロシア人を出迎えました。ロシアメディアによると、夫婦もいて、その子ども2人も一緒に帰国したということです。
ロシア プーチン大統領
「祖国へのご帰国おめでとうございます。軍の任務についた方々に、感謝を申し上げます。祖国への忠誠にありがとうと言いたい」
アメリカメディアCNNによると、交渉に関わったのは、アメリカ、ドイツ、ポーランド、ノルウェー、スロベニアの西側諸国と、ロシアとベラルーシの合わせて7カ国。
西側諸国側は、8人のロシア人を釈放する一方、ロシア側はアメリカ人3人、ドイツ人5人のほか、プーチン政権に批判的な反体制派の活動家らロシア人8人を釈放。合わせて24人は、仲介役を担ったトルコのアンカラ空港で身柄が交換されました。
テレビ朝日 外報部 中丸徹デスク
「今回の身柄の交換については、バイデン政権もプーチン政権も『外交的な勝利』と言っている。特にプーチン政権が交渉の中でこだわったのは、クラシコフ氏」
ロシア連邦保安庁の元工作員、ワジム・クラシコフ氏。殺人罪で終身刑を言い渡されドイツで服役していました。
そのクラシコフ氏の解放を最優先に、プーチン大統領は交渉を模索していたとされています。
外報部 中丸徹デスク
「ロシアにとって、海外で拘束されている人の象徴であるクラシコフ氏を取り戻したことは、プーチン政権にとっても勝利と言える一つの要因だと思います」
一方のアメリカ。この日の出迎えには、バイデン大統領が後継指名したハリス副大統領の姿がありました。
外報部 中丸徹デスク
「カマラ・ハリス副大統領と一緒に(交渉を)やったんだと。ハリス氏にとっても大統領選挙に向けポイントになるのが一つ」
「ロシアと交渉ができるんだと、民主党政権が続けば、ロシアとこうした安定的な関係が続くと、トランプ支持者、共和党支持者に対してプラスに言えるタイミングがあった」
アメリカのサリバン大統領補佐官は、今回の交渉でロシア側に金銭は支払っていないと明言。
また、身柄交換交渉とウクライナ情勢は別問題と話しました。