韓国、原発「リレー受注」実現しても心配…6年後に人材4500人不足

AI要約

韓国の原子力発電業界がチェコ原発建設事業の受注を獲得し、人材不足の課題が浮上している。

原発産業における人材需要と供給の不均衡が深刻で、将来的にさらに人材不足が懸念されている。

政府や業界団体は原発産業の人材確保に焦点を当て、長期的な人材戦略を模索している。

韓国の原子力発電業界が17日に24兆ウォン以上の規模のチェコ原発建設事業を事実上獲得し、これを足がかりとしたリレー受注の可能性が大きくなっている。こうした中、「韓国の関連人材が不足しており受注活動や事業を進めるのに足を引っ張りかねない」という懸念が大きくなっている。

韓国産業通商資源部によると、建設・運営、研究開発、支援・管理、放射性廃棄物・環境など原発産業に対する今年の人材需要は4万人だが、供給は3万7000人にとどまる。人材不足は少なくとも6年後まで続く見通しだ。2030年の人材需要予想5万1500人に対し、供給は4万7000人で4500人不足するというのが産業通商資源部の推定だ。

産業通商資源部は昨年3月にボストン・コンサルティング・グループからこうした内容の報告書を受けた。最近韓国水力原子力のコンソーシアムがチェコ事業の優先交渉対象者に選ばれた変数を考慮すれば今後原発人材不足はさらに深まる恐れがある。産業通商資源部のムン・サンミン原発産業政策課長は「今年末に、アップデートされた人材需要・供給見通しと供給拡充案などを含んだ原発産業ロードマップを発表する予定」と話した。

原発業界では2029年の着工が予定されるチェコ事業から支障が生じるとの懸念が出ている。韓国水力原子力は韓国での年間採用人員を3倍に増やすと同時に、チェコでも人材を補強する方式で対応する方針だ。

原発人材不足の根本原因は文在寅(ムン・ジェイン)政権の「脱原発政策」にあるとの声が多い。原発産業を萎縮させて人材が減少し新規供給も減るほかなかったと分析される。実際に韓国原子力産業協会によると、韓国原発業界人材数は文政権が発足した2017年に3万7261人でピークとなった後、毎年減り続け2021年には3万5104人となった。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発足して中断された韓国国内での原発建設を再開し海外受注にも成功して原発業界が業績を回復する流れだ。2022年から昨年までの原発設備輸出額は4兆100億ウォンで文政権当時の2017~2021年の輸出額5900億ウォンの6.8倍に達した。原発業界の売り上げは2021年の21兆6000億ウォン水準から2022年には25兆4000億ウォンと4兆ウォン近く増えた。しかし人材基盤が回復するにはまだはるかに遠い。

大学では原子力工学科など原発と直接関連する学科で新入生募集が難航する状況は変わらない。今年1学期の韓国科学技術院(KAIST)原子力量子工学科の入学生は3人、蔚山(ウルサン)科学技術院(UNIST)原子力工学科の入学生は2人にすぎなかった。全国の原発直接関連学科数は韓国が2009年にアラブ首長国連邦(UAE)で原発を受注してから15件まで増えたが昨年は8件に減った。低学歴技能工も不足する。原発施工経験が多い大手建設会社の関係者は「建設会社の間では有能な鉄筋溶接工を確保するのが難しくなっている」と話す。原発を施工する時は高度な安全性を確保するためコンクリートの間に鉄筋を多く入れて溶接をするのが重要だ。

ソウル大学エネルギーシステム工学部のホ・ウンニョン教授は「産業に必要な人材はその時ごとに必要に応じてゴムひものように増減できるものではないため、長期的な観点で人材需給を考えなければならない」と話した。産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)長官はこの日の国会業務報告で「原発生態系を生かすのに人材確保が中長期的に最も重要だ」と強調した。与党「国民の力」の金成願(キム・ソンウォン)議員に「どのように原発生態系を復元するのか」と問われて出た答弁だ。

世界的に電力需要急増に対応するために「親原発」の風が吹き、韓国だけでなく海外でも労働力難に苦しんでいる。韓国原子力学のチョン・ボムジン会長は、「そうでなくても人が不足しているがそれさえも海外の国に奪われかねず問題が深刻だ」と心配する。チョン会長は「人材が不足するだけでなく質も落ちるのが大きな問題」と付け加えた。

エネルギー情報文化財団のノ・ドンソク原発疎通支援センター長は「今後どんな政権になっても原発産業を安定的に育成するという信頼が確保されてこそ良質の人材が十分に供給されるだろう」と予想した。