トルクメニスタンの神秘「地獄の門」、燃え続ける炎は消えるのか

AI要約

トルクメニスタンの観光名所となった「ダルバザ・ガス・クレーター」について紹介。数十年前に発生した産業事故で生まれた珍しい現象で、火が燃え続ける穴として知られている。

観光客向けの施設が整備された現在、キャンプ場や食事の提供が行われており、安全面も配慮されている。しかし、火が以前に比べて小さくなっているという声もあり。

火が消えたり、封鎖される可能性もあるが、人と自然が作り出した神秘的な景観は維持されており、特に夜の炎の光景は圧巻。

トルクメニスタンの神秘「地獄の門」、燃え続ける炎は消えるのか

トルクメニスタン・ダルバザ(CNN) 産業事故が転じて一大観光名所になることは滅多(めった)にない。

だが、炎が燃え続ける巨大な陥没穴「ダルバザ・ガス・クレーター」は、中央アジアのトルクメニスタンで最大の観光地になった。この穴は、旧ソ連の調査団が50年以上前、天然ガスを掘削した際に連鎖反応を引き起こしてできたといわれる。

「地獄の門」「カラクムの光」とも呼ばれるこの現象は、メタンガスで燃え上がる炎が、クレーターの底や壁沿いにある無数の噴気孔から噴き出して発生する。クレーターの縁に立つと、噴気孔から放出される猛熱を感じる。星空の下で炎が激しく揺れ動く夜の光景は特にドラマチックだ。

カラクム砂漠の砂丘と岩場に囲まれたクレーターは、トルクメニスタン観光で外せない人気スポットになった。

ダルバザに初めて観光客が集まり始めた当時は、観光客向けのサービスも施設も存在せず、泊まりがけで訪れるために必要な物は全部自分で調達する必要があった。今では常設のキャンプ場が3つあり、テントに宿泊できるほか、食事や歩きたくない人のための移動手段もある。

クレーターの直径は約70メートル、深さは30メートル。垂直に切り立った壁が、岩だらけの底部へと続く。2018年には観光客が燃え盛る陥没穴に近付きすぎないよう、防護柵が設置された。

このクレーターについての著書があるゲド・ギルモアさんは、「崩落したガス洞窟と言われても、古いガスオーブン程度にしか面白さを感じない。だがここには不気味さがある。実際、私はかなり薄気味悪く感じた」と語る。

ただしこのクレーターは、少なくとも火が燃えた状態では、あまり長くは続かないかもしれない。トルクメニスタン政府は数回にわたり、何らかの形でクレーターを封鎖する可能性に言及した。ダルバザを何年も前から知る人たちは、かつてに比べると火がかなり小さくなっていると言う。

「私が最初に見た2009年に比べると、40%くらいしか燃えていない」。トルクメニスタン旅行のパイオニアだった英旅行会社ルーピン・トラベルのディラン・ルーピンさんはそう語る。

「当時はクレーターの中のもっと大きな範囲で炎が燃えていた。今は少なくなって、以前ほどの高さもない」

40回ほどダルバザを訪れているという現地ガイドの男性も、過去7年で炎がどんどん小さくなっていると指摘。「以前は今より炎が多かった。多分、ガスポケットがなくなりつつあるんだろう」と話す。

それでも人と自然が交じわって作り出した神秘の魅力は衰えない。特に、砂嵐が吹き付けて暗い穴の底から届く炎のきらめきしか見えなくなった時の光景は圧巻だ。