近くに住宅、希少種の巣も…八重山風力発電が環境に配慮し計画見直し 着工遅れ来年3月以降に 風車9基から7~8基に削減

AI要約

鹿児島、薩摩川内両市にまたがる八重山周辺での風力発電建設計画が大幅な見直しで遅れていることが分かった。

計画では、環境に配慮して運用開始が28年春まで延期され、発電設備の数も7~8基に削減される見込み。

環境に対する知事意見や経産省勧告に対応するため、計画の変更に取り組んでいる。

近くに住宅、希少種の巣も…八重山風力発電が環境に配慮し計画見直し 着工遅れ来年3月以降に 風車9基から7~8基に削減

 鹿児島、薩摩川内両市にまたがる八重山周辺での風力発電建設について、事業者の計画が大幅な見直しのため遅れていることが29日までに分かった。環境影響評価(アセスメント)の準備書で2024年1月を目指していた着工は25年3月以降に、運用開始は26年1月から28年春になり、約2年延びる。最大9基としていた発電設備は7~8基に削減する見込み。環境に配慮して変更を求める知事意見や経済産業省勧告に対応する。

 風力発電は、日本風力エネルギー(東京都)の子会社、かごしま郡山風力合同会社(鹿児島市武1丁目)が計画する。19年9月、4段階ある環境アセスの手続きのうち第1段階の配慮書を提出。方法書、準備書を終え、最終段階である評価書の作成に着手している。

 21年12月に公告した準備書の時点では、約439ヘクタールの敷地内に9基(1基当たり最大高154メートル)の設置を想定していた。しかし22年7月、県は知事意見を経産省に送付。発電設備の1キロ未満に住宅や希少種クマタカの巣があると指摘した。工事で発生する建設残土の土捨て場についても、集中豪雨で土石流が発生する懸念があるとした。経産省も同年9月、生態系への影響について検討が不十分と指摘し、計画の見直しを勧告した。

 同社は「追加調査をするなど、勧告内容をクリアできるよう対応中」と説明する。発電設備数を減らして配置を変更、土捨て場の数も減らす方針という。ただ配置案など見直し状況の具体は示されておらず、評価書の完成時期も未定としている。