「活断層」攻防、10年超 報告書案漏えいなど混乱も 敦賀原発

AI要約

 原子力規制委員会は敦賀原発の活断層に関する専門家調査団の報告書を2度にわたり了承し、対立が続いた経緯がある。

 規制委の判断は再稼働の新基準への適合性審査に移り、公平性を揺るがす事件も起きた。

 報告書案の漏えい問題や地質データの書き換えなど、審査の過程で混乱が生じた。

 日本原子力発電敦賀原発の敷地内活断層を巡り、原子力規制委員会は2013年と15年の2度にわたり、専門家調査団による「活断層である」とする報告書を了承。

 原電はそのたびに「適正手続きに反し、当然無効だ」などと激しく反発した。攻防は10年以上に及び、その過程では報告書案の事前漏えい問題など、審査の公平性を揺るがすような混乱も起きた。

 発端は規制委発足前の12年4月。経済産業省原子力安全・保安院(当時)が行った現地調査で、敷地内に活断層がある可能性を専門家が指摘した。

 同年9月に発足し、調査を引き継いだ規制委は13年5月、2号機直下を通る断層が活断層だとする専門家調査団の報告書を了承。原電は14年、新たな試掘溝で得られたデータを基に再調査を要求し、再び議論されたが、結論は覆らなかった。

 ただ、規制委は専門家調査団の判断を「重要な知見の一つ」とする見解を示したことから、最終的な判断は、再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査へと移った。

 調査や審査の過程では、公平性を揺るがす問題が多数生じた。12年には、事務局の原子力規制庁審議官が、あいさつに訪れた原電幹部に公表前の調査団報告書案を手渡していたことが発覚、更迭に追い込まれた。

 13年に調査団報告書を了承した際には、原電が規制委に加えて、調査団メンバーの専門家個人にも抗議文を出し、規制委側が不快感を示す場面も。その後も、地質データの無断書き換えが多数判明するなど2度にわたって審査が中断、異例の経過をたどった。