“ほぼトラ”を視野に反攻作戦をうかがうウクライナ、プーチンの核の恫喝に対抗する無人機攻撃「次のターゲット」

AI要約

ウクライナのゼレンスキー大統領が「第二次反攻作戦」を本格化する可能性があり、その背景には国内外の政治事情がある。

支持率低下やアメリカの混乱が影響し、ゼレンスキー氏はトランプ氏の返り咲きを懸念している可能性がある。

ウクライナの状況を比較して、反攻作戦のタイミングとしては今が良い時期である可能性がある。

■ ウクライナが「第二次反攻作戦」を仕掛けるタイミング

 ウクライナのゼレンスキー大統領が、今年の秋に“第二次反攻作戦”を本格化するのでは、との憶測が軍事・国際ジャーナリストの間で流れている。

 同国内外の政治事情が背景にあるようで、国内的にはゼレンスキー氏自身の支持率低下が挙げられる。ウクライナのシンクタンク「ラズムコフ・センター」の調査では、今年6月の支持率はついに6割を切り、開戦直後の9割以上と比較すると大幅に落ち込んでいる。

 国外的には、次期大統領選挙を控えた最大の援助国・アメリカが、候補者をめぐりドタバタを繰り返している点も、非常に悩ましいだろう。

 今年11月3日(現地時間)の大統領選まで約3カ月に迫り、再選に意欲的ながら“老害”を理由に「バイデン降ろし」の大合唱が民主党内部からも噴出。ついに7月21日(現地時間)、万事休すとばかりにバイデン米大統領が選挙戦からの撤退を表明した。民主党の後任候補はハリス副大統領が有力視されるが、党内では意見が分かれている最中で依然予断を許さない。

 これに対し、ライバルのトランプ前大統領(米共和党)は好調で、以前から「もしトラ」(もしトランプ氏が大統領に返り咲いたら)が囁かれていたが、7月13日のトランプ氏暗殺未遂事件を機に共和党陣営はさらに勢いづき、今や「ほぼトラ」(ほぼトランプ氏で決まり)や「確トラ」(トランプ氏で確定)と報じるメディアも多い。

 「ウクライナ援助は即時中止し、24時間以内に戦争を終わらせる」が口癖のトランプ氏の返り咲きは、ゼレンスキー氏にとっては“悪夢”だろう。

 そこで、「もしトラ」を念頭に、今のうちに第二次攻勢に打って出て既成事実をつくってしまえば、仮に「第二次トランプ政権」が誕生したとしても、侵略された祖国の領土奪還を行っているウクライナ軍に対し、「俺が大統領になったのだから、すぐ銃を降ろせ!」とは、さすがのトランプ氏も言えないだろう──。そんな「読み」をゼレンスキー氏が巡らせてもおかしくはないだろう。

 ウクライナ、ロシア両国の状況を比較しても「第二次反攻作戦」を仕掛けるにはいいタイミングと言える。昨年秋にアメリカの軍事援助がストップし、一時ウクライナ軍は弾切れ寸前に陥ったが、幸いにも今年春に援助が再開し、息を吹き返した。

 依然として兵員不足に苦しむが、悲願の米製F-16戦闘機の第1陣が、今年7月にオランダとノルウェーから届く模様で、反攻作戦に不可欠な戦闘機・攻撃機による航空支援(エアカバー)も可能になる。