「静かな休暇」は信頼欠如の現れ…あるCEOは企業カルチャーでそれを阻止する(海外)

AI要約

アメリカで増加している「静かな休暇」の現象について、広告代理店の取り組みや従業員の体験を通して解説。

「静かな休暇」の人気の背景やミレニアル世代の取り組みについても触れる。

フレキシブルなカルチャーを通じて従業員が休暇を取る際に不安を感じる必要がない環境を作り出す方法についても説明。

「静かな休暇」は信頼欠如の現れ…あるCEOは企業カルチャーでそれを阻止する(海外)

アメリカでは従業員が上司に内緒で休暇を取る「静かな休暇(quiet vacationing)」が増えているという。

だが、広告代理店カーブ・コミュニケーションズの従業員は、休暇を取るためにこそこそする必要性を感じていないと、同社のデビッド・バーコーCEOが述べている。

従業員はどこにいても、いつでも好きな時に職務を遂行できると信頼することをバーコーは提唱している。

「静かな休暇(quiet vacationing)」、つまり上司に内緒で休んだり、世界のどこかで働いたりすることが、アメリカの労働者の間で人気を集めている。

特にミレニアル世代はこれを気に入っているようだ。ハリス・ポール(Harris Poll)が行った最近の調査によると、アンケートに参加したミレニアル世代の10人に4人近くが、上司に内緒で休暇を取ったことがあると回答した。

では、上司がそれを防ぎたい場合、どうすればいいのだろうか。

結局のところ、従業員との間で信頼のカルチャーを形成するしかないと、フロリダに拠点を置く広告代理店カーブ・コミュニケーションズ(Carve Communications)の創業者兼CEOであるデビッド・バーコー(David Barkoe)がBusiness Insiderに語っている。

「自分の人生を生きるといい。ただし、仕事はやり遂げること」と彼は自身のアプローチについて説明する。

「最善と感じる方法で、仕事をやり遂げればいい。そうすれば、私は最初から、採用した瞬間からあなたを信頼する」

実際には、そのような企業カルチャーはさまざまな形を取る。例えば早朝から仕事を始め、早めに退社して子どもの水泳大会に行く従業員がいる。また、ヨーロッパを3週間旅行する際、最初の1週間は有給休暇にして、残りの2週間はリモートで働く従業員もいる。

バーコーによると、オープンでフレキシブルなカルチャーを経営陣が積極的に奨励し、実践していると、従業員は休暇を取るためにこそこそする必要がないと感じるという。

「これは完全にカルチャーが主導している」とバーコーは言う。従業員が「静かな休暇」を取る理由は、雇用主に信頼されておらず、敬意も払われていないと感じているからだと彼は考えている。

フレキシブルなカルチャーによって仕事がこなせなくなるのではないかと心配する管理者もいるかもしれないが、それは逆だとバーコーは言う。彼は、2020年にカーブが完全なリモートワークに移行したとき、従業員がオフィスに戻ることはもうないことがすぐに分かったという。

「とにかく仕事をしていた。従業員のモチベーションは上がっていた」

従業員数千人の企業では異なるかもしれないが、「小さな組織では、職務を遂行していない場合、それを隠すのはかなり難しい」とバーコーは言う。また、それをうまく利用する人がいたとすれば、おそらくその人はあなたのチームの一員としてふさわしくないだろうと付け加えた。

カーブでコンテンツ担当アソシエイトディレクターを務めるアシュトン・マタイ(Ashton Mathai)は、同社における無制限の有給休暇制度と、どこからでもリモートで働ける企業カルチャーを十分に活用しているとBusiness Insiderに語っている。

マタイは2023年に2カ月間ヨーロッパを旅行した。最初の10日間を有給休暇とし、残りの期間はスコットランド、アムステルダム、ポルトガル、イタリアなどで働いた。時差があるため、現地時間の午後1時から午後8時まで働き、午前中は観光したりビーチに行ったりした。

「午前中は好きなことをして過ごし、昼から夜にかけて仕事をしていた」とマタイは語っている。

彼女の上司は、彼女が職場にいなくても、しっかりと職務をこなすと確信していると言っていたという。

「脅されたわけではない。本当に確信していた。だからこそ、彼らに誇らしい気持ちになってもらいたいと思いながら出かけた。私自身、誇りをもって仕事をしたいと思った」

マタイは海外滞在中に働くこともあるが、ちゃんとした有給休暇も十分に取っている。2024年初頭には、家族と2週間インドを旅行し、その時は仕事をしなかった。

「会社の幹部やデイビッド(バーコーCEO)自身から、休暇を取ることを盛んに勧められた」

バーコーによると、多くの企業が理論的には無制限の有給休暇を設定しているが、それがあるということと実行するのとでは違いがあるという。彼は、カーブのフレキシブルなカルチャーをうまく活用しようとする従業員に対して、良い意味で積極的に励ましたり、声をかけたりするようにしている。

「私生活は企業カルチャーの一部だと言えるマインドセットが必要だ。企業カルチャーが私生活の一部になっているのではなく、その逆ということだ」