「お前くさいねん」クリーニング店で知的障害のある男性を洗濯機に入れて回し全身打撲 職場における“障害者の虐待” 発達障害告白で不利益も…専門家と対策を考える

AI要約

京都市のクリーニング店で障害者いじめが問題視されている事件で、男性2人が同僚男性に暴力を加えて逮捕された。被害男性は知的障害があり、全身打撲で全治2週間のけがを負った。

障害者虐待が問題化されており、厚生労働省によると虐待が認められた障害者数は増加している。一方で、障害者に対する差別的な視点が存在し、職場での配慮や問題解決が求められている。

障害者雇用状況は20年連続で過去最高を記録しており、民間企業で働く障害者数も増加している。企業には障害者法定雇用率が定められているが、達成できない場合は罰則が科される。

「お前くさいねん」クリーニング店で知的障害のある男性を洗濯機に入れて回し全身打撲 職場における“障害者の虐待” 発達障害告白で不利益も…専門家と対策を考える

 京都市のクリーニング店に勤める男2人が、同僚の男性を負傷させたとして逮捕された。男2人は50代の同僚男性に「お前くさいねん。洗濯機入れや」と言い、大型洗濯機に入れてふたを閉めて回し、全身打撲で全治2週間のけがを負わせた疑いがある。けがをした男性には知的障害があり、事件をきっかけに退職した。

 職場における障害者いじめが、近年問題視されている。一定規模以上の事業主には障害者を雇用する義務があり、例えば従業員を40人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければならない。そんな中、怒鳴る・暴力を振るう・不当な労働を強いるなど、さまざまな事例が報告されている。「甘えていると言われるけど、私も好きで障害者になったんじゃない」という声がある一方で、「あれもできない、これもできないで、同じ給料なんてやってられない」「フォローが大変だ」といら立ちを感じる健常者も。

 障害のある人にどこまで配慮し、職場でどう折り合えばいいのか、『ABEMA Prime』で考えた。

 障害がある人からの相談も受ける労働組合「総合サポートユニオン」執行委員の坂倉昇平氏は、今回のケースを「嫌がらせの象徴的な事件だ」と語る。被害男性を診察した医師の通報で事件が発覚した経緯から、「経営者や同僚は本当に知らなかったのか。障害者に対する虐待やハラスメントが問題化されづらい実態があることも表している」と指摘する。

 厚生労働省「使用者による障害者虐待の状況等」によると、虐待が認められた障害者数は2022年度に656人。2017年度の1308人よりは少ないが、前年度比では30.7%増となっている。坂倉氏は「2010年代はブラック企業対策や働き方改革で、労働条件が良くなったと言われがちだ。一方で、人が集まりにくい職場では、労働条件を良くする代わりに一人ひとりの仕事量が増え、負荷が高まっているところも増えている。そうした中で、障害者に対する『生産性が低い』という差別的な視点が強まってきたのでは」と説明。

 厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業で働く障害者は64万2000人で、20年連続で過去最高を記録した。内訳は、身体障害者が約36万人(前年比0.7%増)、知的障害者が約15万2000人(同3.6%増)、精神障害者が約13万人(同18.7%増)。企業規模によって障害者法定雇用率が定められているが、達成できない企業は不足1人につき5万円/月の納付が求められ、改善が見られない場合は企業名も公表される。