「もう耐えられない」…韓国で廃業する自営業者が100万人に迫る

AI要約

昨年廃業を届け出た人の数が100万人近くに達し、増加傾向にある。高金利や内需低迷が原因とされ、対策が急務とされる。

内需に関連する業種が廃業届けが多く、特に小売業やサービス業の廃業者数が増加。再就職支援が必要とされている。

廃業者の再参入支援やセーフティーネットの構築が求められ、労働市場に積極的な政策が必要とされている。

 昨年1年間に廃業を届け出た人の数が100万人近くにのぼったことが分かった。前年からの増加数は過去最大の約12万人に達した。高金利の長期化や内需の低迷などがその背景としてあげられる。廃業した自営業者の労働市場への再参入を誘導する対策が急がれると指摘される。

 15日に国税統計年報を確認すると、昨年1年間に廃業を届け出た事業者は98万6487人。年間廃業者数は2019年の92万2159人から2020年には89万5379人に減り、その後は2022年まで80万人台を保っていた。しかし昨年は100万人近くにまで急増。総事業者数に占める廃業事業者の割合も2019年11.5%、2020年10.3%、2021年9.6%、2022年9.0%と徐々に低下していたが、昨年は9.9%へと上昇した。

 廃業届けが多かったのは内需と直接関係する業種。昨年の小売業の廃業者数は27万6564人で、前年に比べて29.0%増。廃業自営業者数全体の増加率(13.7%)の2倍を上回る。続いてサービス業の廃業事業者数(21万8002人)の増加率も17.7%と大きく、飲食店業(15万8328人)と建設業(4万8631人)もそれぞれ16.3%と15.9%で、増加率が平均より高かった。韓国労働研究院のイ・ビョンヒ先任研究委員は、「廃業事業者数が増加したのは、内需の低迷と高金利に耐えるのが困難な自営業者が増えたためとみられる」と語った。

 廃業事業者数は今年も増える可能性が高い。統計庁の経済活動の人口調査マイクロデータを分析したところ、今年上半期の失業者のうち過去1年間に自営業者として働いていた人の数は、月平均で2万6千人だった。昨年上半期(2万1千人)に比べて23.1%もの大幅増だ。今年上半期の非経済活動人口のうち直近の1年間に自営業者として働いていた人の数も月平均で26万8千人で、昨年同期に比べて6.0%増加していた。非経済活動人口とは、満15歳以上の生産年齢人口の中の、求職活動もしていない未就業者を指す。元自営業者の非経済活動人口の増加は、自営業の廃業後に再就業しない人が増えていることを意味する。

 これを受け、廃業した自営業者に対する再就職・再起業支援はもちろん、労働市場への再参入までを支える「セーフティーネット」の強化が必要だとの声があがっている。政府が推進している小商工人の債務調整支援、配達料などの固定費支援、貸付満期の延長などの措置から一歩踏み込んで、彼らを労働市場に引き入れる積極的な労働市場政策が必要だというのだ。

 明知大学のウ・ソクチン教授(経済学)は、「韓国は就業者全体に占める自営業者の割合が高く(2022年で23.5%)、特に労働市場から押し出された生計型自営業者が多いことが問題」だとし、「彼らが労働市場に再参入できるようにするため、労働市場において良質の雇用を増やす対策が必要だ」と述べた。イ・ビョンヒ先任研究委員は、「中長期的には、自営業者の失職後のセーフティーネットの制度的構築を検討すべきだ」とし、「スペインやアイルランドなどの一部の国のように、自営業者の雇用保険への加入の拡大または義務付けをまず議論する必要がある」と語った。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )