韓国人が友情を長続きさせる“意外な方法”─それは「貯蓄」|無理なく積み立てて、楽しい時間を一緒に過ごす

AI要約

韓国の友情を深める貯蓄グループ「ケモイム」が人々の幸福に大きな影響を与えている。

グループが積み立てたお金で豪華な旅行や集まりを楽しんでおり、絆が強化されている。

ケモイムは友情と経済的安全性を両立させる良い方法である。

韓国人が友情を長続きさせる“意外な方法”─それは「貯蓄」|無理なく積み立てて、楽しい時間を一緒に過ごす

近年、人の幸福における友情の大切さが強調されるようになった。韓国では、一緒に楽しい時間を過ごすため、友人同士で「貯蓄グループ」を結成するのが一般的だという。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が取材した。

2023年の秋、キム・ジナ(32)は2人の友人と共に、韓国の釜山にある高級リゾート「アナンティ・アット・釜山コーブ」で2泊の贅沢な滞在を楽しんだ。

1泊369ドル(約6万円)からというこの高級リゾートホテルには、インフィニティプール、スパ、8つのレストラン、海岸沿いの遊歩道とビーチを含むプライベートエリア、そして敷地面積4600平方メートルの「ウォーターハウス(天然温泉水を使用した屋内プールとサウナ)」など、魅力的な施設が満載だ。





「一日中、ホテルで泳いだり、食べたり飲んだりして過ごしました」。元教師で、現在は専業主婦として子育て中のキムはそう語る。

彼女も友人たちも、費用の心配はいっさいしなかった。というのも、彼女たちは10年以上にわたって「ケモイム」で貯蓄してきたからだ。

ケモイムとは、「将来の出費に備えて貯蓄する、資金計画グループを作る人々」を指す韓国語だ。ケモイムを結成することで、友人や家族同士で旅行費用を均等に分担でき、個人の予算に関係なく、全員が旅行に参加することができる。

「正直言って、ケモイムを作っていなかったら、こんな旅行を計画するのは相当難しかったと思います」とキムは言う。「費用がかかりすぎるし、他のメンバーにプレッシャーを感じさせるのも嫌でしたから」

ケモイムのような「共同貯蓄計画」には、世界各地で長い歴史がある。「実際のところ、こうした仕組みは韓国に限ったものではありません」と話すのは、ソウルにある韓国科学技術院経営大学の経済学准教授、シン・ウンチョルだ。

「ケモイムのような慣行はもともと、金融市場がなかったことで発展しました。昔はお金を借りたければ、自ら資金調達するしかなかったのです」

シン准教授は、稲作のために種を買う必要があった200年前の村の話を例に挙げる。当時、多くの地域ではローンを組むための金融構造がまだ整備されておらず、村人たちはお金を出し合って物資を購入し、収穫物を分け合っていたという。

やがて、この慣行は人々の友情を強化し、コミュニティを団結させる方法へと発展していった。



ケモイムのメンバーは、基本的に「会費」として、毎月グループで定めた額(10~50ドルほど。日本円で約1600~8100円)を納めている。そしてお金が貯まると、メンバー同士でその使い道を話し合うのだ。

キムは2014年、社交クラブで知り合った2人の友人と初めてケモイムを結成した。3人とも別々の大学に通っていたが、ケモイムを作れば定期的に会う機会ができると考えたのだ。

キムたちはまず、毎月1万5000ウォン(約1800円)ずつ積み立てることで同意した。その後、10年間で300万ウォン(約35万円)以上が貯まると、アナンティ・リゾートへの旅行費用として使うことに決めた。その頃には、3人とも仕事や家事、育児で多忙な日々を送っていたが、ケモイムによって親密な関係を保つことができた。

「ケモイムのおかげで付き合いが途切れず、費用の心配をしなくても皆で楽しい時間を過ごせました」とキムは語る。

35歳のイ・ヨンフンは、母親がマンションの住人たちで作ったケモイムの代表を務めていると話す。英語学校で助手を務めるイは、女性2人と男性4人で結成したケモイムの一員で、彼らは全員が毎月5万ウォン(約5800円)ずつ積み立てている。

「私たちは高校時代の友人で、大人になったいまも親しく付き合っています。最初はただ楽しむために集まっていたのですが、働きはじめてからは、将来について考えるようになりました。それで、友達付き合いを大事にしつつも、結婚や葬儀といった人生の重要なイベントを通じて、互いに助け合うことにしたんです」

イが参加しているケモイムでは、積み立てたお金を使って年に数回集まり、韓国式バーベキューや、フライドチキンとビールなどの食事を楽しんでいる。

前出のキムは、4月末にも別のケモイムの仲間とベトナム旅行に出かけた。費用はアナンティよりもずっと安く済んだが、女性3人のグループで素敵なホテルに泊まり、素晴らしい時間を過ごしたという。