複合事態、認知戦、経済安保の対応など想定 台湾有事シミュレーション

AI要約

日本戦略研究フォーラムが台湾有事を想定したシミュレーションを実施し、認知戦や経済安全保障を探った。

シミュレーションでは中国の台湾侵攻を2027年4月に想定し、緊急対応や偽情報の流布に対処した。

日本が台湾侵攻に備え、災害対策や認知戦に備えるとともに、経済安保も検討した。

複合事態、認知戦、経済安保の対応など想定 台湾有事シミュレーション

シンクタンク「日本戦略研究フォーラム」は13日、台湾有事を想定したシミュレーションを東京都内で行った。首相役の小野寺五典元防衛相ら国会議員、自衛隊幹部・政府高官OBのほか米国、台湾などの関係者約70人が参加。4回目の今回は大規模災害などが同時に起こる複合事態、偽情報の流布などで世論の動揺を狙う「認知戦」、経済安全保障への対応を新たに加え、課題を探った。

シミュレーションは、2027年4月に中国が台湾への武力侵攻に踏み切ると想定した。侵攻に至る前のグレーゾーン事態から有事発生まで、情勢の推移に合わせて対応を検討した。

序盤のシナリオでは、中国軍が台湾統一をにらんで東シナ海や沖縄周辺の海空域で活動を活発化させる中、青森県と北海道の沖合を震源とするマグニチュード9超の巨大地震が2度、発生したと想定。南西地域の警戒を強化する自衛隊が震災対応にどの程度、人員や装備を回せるかを検討し、南西警戒で展開している部隊を除き、東日本大震災と同等の10万人を派遣することを決定した。南西警戒は陸海空自衛隊を一元指揮する統合作戦司令官が、被災地への派遣部隊は陸上総隊司令官が、それぞれ指揮すると整理した。

台湾情勢の緊迫化に加え、中国と連携しているとみられる北朝鮮とロシアも軍事活動を活発化させ、日本が「3正面」の対応に迫られる複合事態も想定した。防衛省が「中国による台湾侵攻の準備が整った」と判断した段階で、首相は当初シナリオにはなかった「武力攻撃予測事態」の認定を決断した。

シミュレーションでは日台の分断などを目的とした中国による偽情報の拡散が頻発することを見込んだ。中国が仕掛ける認知戦に対抗するため、首相の発信を中心とした戦略的コミュニケーションの重要性を確認したほか、交流サイト(SNS)上の偽情報を削除できるような法整備の必要性も訴えた。

経済安保に関しては、サイバー攻撃の影響でオーストラリアやマレーシアから液化天然ガス(LNG)の供給が途絶える事態などを想定し、対応を検討した。

14日には中国による台湾侵攻後のシミュレーションを行う。