中国が8年前の南シナ海判決に「再反論」、その中身は 日本も牽制

AI要約

中国が南シナ海を巡る境界線に関する常設仲裁裁判所の判決から8年が経過。フィリピンと中国の主張は相容れないままであり、対立が続く。

中国は判決を受け入れず、仲裁の正当性を否定。フィリピンは国際法の重要性を強調し、中国の行動を非難。

フィリピンと中国の対立は国際法や領土主権をめぐるものであり、解決に向けた展望は依然として曖昧。

中国が8年前の南シナ海判決に「再反論」、その中身は 日本も牽制

 中国が南シナ海の大半を囲むように引いた境界線「9段線」の主張を否定した常設仲裁裁判所の判決から12日で8年となった。この日に合わせ、対立が激化するフィリピンと中国はそれぞれの考えを訴えたが、双方の主張は平行線のままだ。

 「(判決は)受け入れようがないし、受け入れれば国際法体系を壊すことになる」

 政府系シンクタンク・中国南海研究院の呉士存名誉院長は11日、内外の記者約100人を集めて北京で会見し、こう力を込めた。

 会見で「判決への再反論」との文書を発表。「フィリピンの訴えは事実上、領土主権の問題であり、仲裁裁判の管轄外だ」などとして仲裁自体の正当性を否定する従来の立場を繰り返した。

 2016年7月、フィリピンの提訴を受けたオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、中国が主張する「9段線」内の海域に対する「歴史的権利」に国際法上の根拠がないとの判断を示していた。中国は「二国間の交渉で解決すると合意している」として当初から仲裁手続きにも加わらなかった。

 呉氏は「判決が出てから8年間の波乱をみれば、判決は平和と安寧をもたらしていないし、今後もたらすことはないだろう」と述べた。また、フィリピンと軍事的結束を強める日本に対しても「将来、多くのトラブルを起こしかねない」と牽制(けんせい)した。

 ただ、判決は国連海洋法条約に基づいており、中国もこの条約の締約国だ。フィリピンの首都マニラでは12日、仲裁裁判での勝訴を記念するフォーラムが開かれ、政府高官や各国の大使らが、国際法を順守する重要性をあらためて訴えた。

 法律の専門家として登壇したフィリピン最高裁元判事のカルピオ氏は「中国が持論を押し通すためにどんな物語を作り出したとしても、国連海洋法条約に違反し続けていることに変わりはない」と指摘。政府のアニョ国家安全保障担当顧問は「(中国船による放水や衝突といった)攻撃的な行動が世界各国の自由な航行を脅かしている。国際法の意義を弱体化させる行為だ」と批判した。