フィリピンと“準同盟”結んだ岸田政権、「中比戦争」に参戦する覚悟あるのか

AI要約

フィリピンと中国の南シナ海を巡る対立について、セカンドトーマス礁を巡る環境破壊と軍事衝突の様相が明らかになっている。

中国がフィリピンの座礁船による環境破壊を批判し、セカンドトーマス礁の珊瑚礁が大幅に減少していることを指摘している。

中国の動きから、フィリピンと中国の南シナ海での緊張が一層高まっていることが窺われる。

 これは、「明日は我が身」という話である。

 フィリピンが実効支配する南シナ海の英語名セカンドトーマス礁(フィリピン名:アユンギン礁、中国名:仁愛礁)は、日本の安全保障関係者たちは「フィリピンの尖閣」と呼んでいる。やはり「自国の領土」と主張する中国との間で、日々壮絶なバトルを繰り広げているからだ。

 先月26日にフィリピン軍は、「20日に中国による海賊行為が起こった」として、中国海警局に「襲撃」された映像を公開。それを見ると、中比両国はすでに「戦争一歩手前」であることを感じさせる。

■ 環境破壊の観点からフィリピンを批判

 そのセカンドトーマス礁に関して、7月8日午後に、二つの新しい動きが起こった。一つは、中国側の「意外な反撃」である。

 同日午後、中国自然資源部は『仁愛礁の違法「座礁」軍艦が珊瑚(サンゴ)礁の生態システムを破壊している調査報告』(以下、『報告』)を発表した。『報告』ではまず、セカンドトーマス礁とフィリピンの「行為」について言及する。

 <仁愛礁は中国の南沙諸島の一部分である。南シナ海の東南部に位置し、海南省三沙市に属する。長い楔形をした環礁で、南北約17km、東西約5.5km。多くの口が開いていて、ラグーン(潟湖)の点礁が多い。

 1999年5月9日、フィリピンは一艘の軍艦を、岩礁の西北側のラグーンの斜面に「座礁」させた。船頭は西を向いている>

 フィリピンは1995年、実効支配していた英語名ミスチーフ礁(フィリピン名:パンガニアン礁、中国名:美済礁)を中国に奪われた。これは、フィリピンが1991年にアメリカとの防衛協定を失効させ、翌1992年までに在フィリピンのアメリカ軍を追い出してしまったため、中国側が強気に出たものだった。中国はいまではそこに人工島を造り、3000m級の滑走路までこしらえてしまった。

 ともあれフィリピンは、ミスチーフ礁を中国に奪われたことで、約40km東にあるセカンドトーマス礁に対しても危機感を覚えた。そこで、第二次世界大戦中に使われた旧式の揚陸艦「シエラ・マドレ」を故意に座礁させ、この座礁船の修復という名目で、フィリピン人を駐留させてきたのだ。

 中国側は現在、それを覆そうとしているのである。

■ 二度あることは…

 『報告』は、環境破壊の観点から論を展開する。

 <仁愛礁の平らな部分とラグーンの斜面では、珊瑚礁が覆っている面積がものすごく小さくなっていて、軍艦の周辺でそれは顕著だ。リモート映像の反射実験を繰り返した結果、科学者たちは、岩礁の岩盤及び軍艦の周囲半径400mの範囲で、そうしたことが起こっていることを突きとめた。本報告の「岩礁」は、水深20mの浅瀬、平らな部分とラグーンの斜面を含む区域である。

 計算によると、2011年と比較して2024年は、仁愛礁の珊瑚礁の面積は総合的に約38.2%減少した。かつ軍艦の周囲半径400mの区域では、珊瑚礁が約87.3%減少した。(中略)

 データが示しているのは、見た目よりも仁愛礁の珊瑚礁が覆う面積は大幅に縮小しているということだ。(中略)軍艦周辺の珊瑚礁が覆う面積の減少は、さらに深刻だ>

 以下、軍艦「シエラ・マドレ」の座礁が、いかに海洋環境を破壊しているかを、写真を何枚も使って論じている。さらに、駐留するフィリピン人たちによる水質汚濁にまで言及している。

 こうした中国側の突然の発表は、何を意味しているのか?  私は中国側が、「本気」でセカンドトーマス礁を取りに来たと見ている。