最新の炭素除去プラントは、海洋の9万9000倍の速さで二酸化炭素を除去できる(海外)

AI要約

エクアティックが北米初となる商業規模の二酸化炭素除去プラントの設計に着手し、2027年に稼働予定。

海洋CDR技術を用いる企業が増加中で、二酸化炭素を数十億トン除去できる可能性がある。

エクアティックのプロセスでは海水を利用し、二酸化炭素を固体に変換し、水素も再利用可能。

最新の炭素除去プラントは、海洋の9万9000倍の速さで二酸化炭素を除去できる(海外)

二酸化炭素除去(CDR)を手掛けるエクアティックが、これまでで最大規模のCDRプラントの設計に着手した。

これは北米初となる商業規模のCDRプラントで、2027年までに稼働を開始する予定だ。

CDRが環境や経済に与える影響については、多くの疑問が残っている。

海洋は地球最大の二酸化炭素吸収源で、人間が排出する二酸化炭素の約25%を吸収している。エクアティック(Equatic)などの二酸化炭素除去(CDR:Carbon dioxide removal)を手掛ける企業は、このような自然のプロセスを利用して、さらに多くの二酸化炭素を吸収しようとしている。

「我々は海がすでに行っていることを活かし、それを増幅させる」とエクアティックのエドワード・サンダース(Edward Sanders)COO(最高執行責任者)はBusiness Insiderに語っている。

同社は2024年6月18日、世界初となる商業規模の海洋CDRプラントの設計に着手したと発表した。このプラントは、海洋の9万9000倍の速度で二酸化炭素を除去できるという。

海洋の二酸化炭素吸収能力を高める取り組みのために、近年十数社の海洋CDR企業が設立されており、エクアティックもそのひとつだ。全米科学・工学・医学アカデミーのレポートによると、海洋CDRの技術を用いることで大気中の二酸化炭素を数十億トン除去できると推定されている。

この技術はまだ初期段階にあり、特に大規模な環境への影響は明らかになっていない。しかし、CDRは気候変動を緩和するために必要なステップとされている。というのも「気候変動に関する政府間パネル」によると、21世紀末までに地球温暖化を1.5°Cから2°C以内に抑えるには、温室効果ガスの排出量を減らすだけではもはや不十分だからだ。

大気中の二酸化炭素を吸収するには、さまざまな方法がある。エクアティックの場合は海水に電流を流して水素、酸素に分解し、酸と塩基の2つの液体を生成する。

「このプロセスによって海水に溶けていた炭素が貝殻のような成分の固体として貯蔵され、冷却塔を介して大気中の二酸化炭素が除去するアルカリ性のスラリー(粘り気のある液体状の混合物)を生成する」とサンダースはBusiness Insiderに宛てたメールで述べている。

さらに、水素はクリーンな水素燃料に変換可能で、エクアティックはこの燃料をCDRプラントの電力供給に再利用したり、販売したりすることができる。ボーイング(Boeing)や決済サービスプロバイダーのStripeなどが、エクアティックと水素製造の契約を結んでいる。