ウクライナ、ロシア南部の有名なミサイル実験場にドローン攻撃

AI要約

第二次世界大戦の末期、ソ連と米国などはナチ・ドイツのロケットやロケット科学者の争奪戦を繰り広げた。1946年5月、ソ連はナチ・ドイツから奪い取ったV2ロケットなどの試験を行うため、アストラハン州にカプースチン・ヤールというロケット実験場を建設した。

この実験場はソ連の宇宙開発の発祥の地として知られ、V2ロケットの試験が国産ロケットの開発につながり、初期の人工衛星を軌道に乗せることに成功した。

最近、ウクライナがカプースチン・ヤールを攻撃する事件が起きており、ウクライナはロシアの宇宙関連施設を狙っているが、その目的は不明である。

ウクライナ、ロシア南部の有名なミサイル実験場にドローン攻撃

第二次世界大戦の末期、ソ連と米国などはナチ・ドイツのロケットやロケット科学者の争奪戦を繰り広げた。1946年5月、ソ連はナチ・ドイツから奪い取ったV2ロケットなどの試験を行うため、現在のロシア南部アストラハン州に新たなロケット実験場を建設した。

この実験場「カプースチン・ヤール」は、多くの点でソ連の宇宙開発発祥の地と言える。V2ロケットの試験は国産ロケットの開発に弾みをつけ、開発されたロケットは世界初の人工衛星をはじめ、ソ連の初期の人工衛星を軌道に乗せることになった。

米中央情報局(CIA)の1990年代の評価によれば敷地面積およそ7800平方kmとされる広大なカプースチン・ヤールで、鹵獲品のV2ロケットの最初の発射実験が行われてから77年後、この実験場は、ロシアがウクライナに対して起こした戦争でウクライナ側の攻撃目標にされている。

9日かそれより前、ウクライナのドローン(無人機)少なくとも1機がカプースチン・ヤールの組み立て施設に突っ込み、炎上させたもようだ。ロシアの宇宙開発史に詳しいジャーナリストのアナトリー・ザクは「カプースチン・ヤールの歴史的な実験場は、スターリンのロケット発射員がナチの弾道ミサイルの飛ばし方を学んでいた場所だが、どうもウクライナのドローンによって『非ナチ化』されたらしい」と皮肉交じりにコメントしている。

ロシアの宇宙関連施設を狙ったウクライナの攻撃は、この半月ほどで2回目だ。ウクライナは6月下旬、ロシア占領下のクリミア半島にある宇宙通信施設「NIP-16」を攻撃した。ロシアは軍事衛星との通信にNIP-16の強力な無線を使用しているとみられ、だとすればウクライナ側が攻撃目標にするのは理にかなっている。

一方、カプースチン・ヤールに対する攻撃でウクライナが何を達成しようとしているのかはもっと不明だ。ロシアは近年、カプースチン・ヤールで最新鋭のS-500を含む地対空ミサイルシステムなどの試験を行っている。「ここはロシア国防省の運用試験場のひとつだ」とザクが強調しているとおりだ。ちなみに、まだ1基しかないとみられるS-500はクリミアに配備され、最近ウクライナ側の攻撃を受けた可能性も出ている。