猛暑で一体何人死亡しているのか、正確な数は誰も分からず-把握難航

AI要約

フロリダ州立大学の地理学者が行った分析によると、猛暑による死者数は公式発表の数値よりもはるかに多い可能性があることが示唆された。

熱中症関連の死者数は実際には公式の報告よりも多い可能性があるが、死亡原因の特定が難しいため、正確な数字を把握することは困難であるとされている。

研究者や医療関係者、政府当局者は熱中症による死者数の追跡に課題を抱えており、暑さが健康に及ぼす悪影響を正確に把握することが重要である。

猛暑で一体何人死亡しているのか、正確な数は誰も分からず-把握難航

(ブルームバーグ): 猛暑で果たして何人の住民が死亡しているのか。米南部フロリダ州マイアミ・デイド郡の当局者は死者数を把握したいと考え、クリストファー・ウエイジョ氏に分析を依頼した。

フロリダ州立大学の地理学者、ウエイジョ氏は気温データと死亡記録を使い、猛暑が原因で2015-19年にマイアミ・デイド郡で年平均34人が死亡したと推計。同氏の試算は公式の死者数の10倍余りで、この期間に熱中症関連の死亡として同郡が分類していたのはわずか2人だった。

それから約1年後、ウエイジョ氏は同じデータで2度目の分析を行った。今度は熱波のピークまでの蓄積を考慮し、猛暑が初期から累積的に健康に及ぼす影響を幅広く捉えるようにした。5月に公表された新たな結果はこれまでとは大きく異なり、暑さによる死者は年間600人に上るとされた。

マイアミ・デイド郡でチーフヒートオフィサー(最高熱波責任者)を務め、2つの分析を委託したジェーン・ギルバート氏は、「両分析はいずれも査読済みの研究だ」と説明。どちらの数字を使うべきかとウエイジョ氏に尋ねたら、34と600の間だとの返答があったと明かす。

34から600とかなり幅があるところに、猛暑による死者数をカウントする難しさがある。公式発表では今年の熱中症の死者はタイで63人、インドで少なくとも143人、メキシコで172人以上となっている。サウジアラビアの大巡礼(ハッジ)では1週間で1300人余りが死亡した。

だが、こうした公式の数字は猛暑による実際の死者のほんの一部に過ぎない。これらの数字は、医師や検視官が暑さと死との間に確信を持って線引きできるような、最も明白なケースであることが多く、気温が間接的な役割を果たした死亡が含まれる可能性はかなり低い。

この曖昧さは、熱中症による死者の追跡方法が限られていることに関係している部分もあれば、気温の上昇によって健康状態が悪化する例が非常に多いことも影響している。熱中症で死亡する人が増える一方で、学者や医療関係者、政府当局者はその把握に苦慮しているのだ。