【タイ】EVの生産過剰懸念、ノルマがネック=協会

AI要約

タイ電気自動車協会(EVAT)は、タイが電気自動車(EV)の生産・在庫過剰に陥ることを懸念している。EVメーカーは物品税局との覚書に則して2022~25年の輸入量18万台を上回る生産を要求され、ノルマと需要のバランスが難しい状況となっている。

22~25年にかけてEVメーカーがタイで生産する台数が増える一方、補助金の支給や輸入関税の引き下げなどの支援も受けるため、業界全体の動向が注目されている。

新車市場の縮小や生産過剰のリスクに直面する中、タイの自動車業界にとって将来の展望が不透明な状況が続いている。

 タイ電気自動車協会(EVAT)は、タイが電気自動車(EV)の生産・在庫過剰に陥ることを懸念している。車市場が落ち込む中、EVメーカーは今後、物品税局との覚書に則して2022~25年の輸入量18万台を上回る生産を求められる。ノルマと需要との間で、難しい対応を迫られるとみている。11日付クルンテープ・トゥラキットが報じた。

 タイが22年に導入したEV奨励策「EV3.0」に参加した中国EVメーカーなど14社は、補助金の支給や輸入関税の引き下げなどの支援を受ける代わりに24年には過去2年間にタイで輸入・販売した数と同じ台数のEVを生産することが義務付けられている。24年は輸入車台数と生産台数の割合は1対1だが、25年には1対1.5となる。

 22~23年の輸入台数は8万4,195台、24年は6万6,448台、25年は3万4,386台が計画され、計18万5,029台に上る。22~25年のブランド別輸入台数は、中国の比亜迪(BYD)が7万7,274台、「ナタ汽車」(ナ=口へんに那、タ=口へんに託のつくり、NETA)が4万837台、「MG(名爵)」が2万7,186台など。

 EV3.0の補助金はこれまで4万台に支払われ、支払いを待っているのが3万5,000台。EV3.0に参加したメーカーが約束通り生産しないと、補助金の全額返金と罰金を科される。

 EVATのクリサダ会長は、タイの新車市場が60万台程度に縮小する中、中国の主要EVメーカー7社の年産能力は計49万台と、フル稼働すると国内需要を大きく上回ると指摘。輸出市場を確保しなければ、こうしたメーカーは困難に直面すると懸念を示した。