「G7サミット」で“崖っぷち”の岸田首相は日本国代表として何を語ったのか? 2日間のセッション内容を振り返る

AI要約

岸田首相が日本国を代表してG7サミットに出席し、各国首脳と精力的に会談を行ったことが注目される。

イタリアのメローニ首相がプーリアで開催されたG7サミットでグローバルサウス諸国との対話を重視し、インドのモディ首相を招待した。モディ首相は3期目の外遊である。

メローニ首相の外交姿勢が評価されており、彼女はイタリア初の女性首相として現実路線で国際社会との関係を修正している。

「G7サミット」で“崖っぷち”の岸田首相は日本国代表として何を語ったのか? 2日間のセッション内容を振り返る

 一昔前までは、「G7サミット」(先進7ヵ国首脳会議)というと、日本の首相が年に一度、アジアを代表して外遊するということで、大騒ぎしたものだが、いまや平静そのもの。「鬼の居ぬ間に何とやら」で、(14日に)麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長が会食をしたとか、(同日に)岸田派(宏池会)が事務所を畳んだとかいうニュースの方が、大きく扱われる始末だ。

 9月に行われる自民党総裁選で、岸田文雄総裁が再選されるか、すなわち首相を続けられるかどうかは、周知のように五里霧中だ。しかし、6月の現時点で、岸田氏は日本国首相であり、先週末には日本国を代表して、イタリアとスイスを訪問し、一年で最も重要な外交行事に出席してきたのだ。昨年5月に、岸田首相自身が議長を務めた広島G7の延長という意味合いもあった。

 実際、岸田首相は、G7サミットの合い間に、ウクライナ、イギリス、EU、アメリカ、イタリア、アルゼンチン、カナダ、インドの計8首脳と、会談、懇談、立ち話などを精力的に行った。日本でもう少し多く報じられてもよかろうと思ったのは、私だけだろうか? 

 そこで今週のコラムでは、先週末に行われたG7サミットについて、しかと見ていきたい。そこには、本コラムの主題である「中国」も入ってくる。

 今回、13日と14日にG7サミットが行われたのは、イタリア南部のプーリアだった。ブーリア州というと、イタ飯好きの私などは、ギリシャ文化の影響を受けたオリーブとロゼワインを思い起こしてしまうが、もちろんそんなことで先進国首脳が集まったわけではない(地元の海鮮料理やワインは存分に振舞われただろうが)。

 議長役を務めたイタリアのジョルジャ・メローニ首相(47歳)は、開会の挨拶で、こう述べた。

 「イタリアは首脳会議をプーリアで開催することを決定したが、これは決して偶然の選択ではなかった。私たちがこの場所を選んだのは、プーリアがイタリア南部の地域であり、イタリア議長国のG7が、グローバルサウス諸国との対話を強化したいというメッセージを込めたのだ。

 プーリアは、歴史的に東洋と西洋の架け橋としての役割を果たしてきた。ここは、地中海の中心にある対話の地であり、大西洋とインド太平洋という世界の2つの主要な海域を結ぶ『中間の海』なのだ」

 メローニ首相は今回、グローバルサウスの盟主を目指しているインドのナレンドラ・モディ首相を招待した。モディ首相は、今月4日に開票された総選挙で苦戦を強いられたが、何とか首相3選を果たし、3期目の最初の外遊となった。

 思えば、彼女が政治家になった当初は、単なる「イタリアに突如現れた右翼姉さん」という感じだった。だが2022年10月、イタリア初の女性首相に就任すると、内政も外交も、巧みに現実路線に軌道修正していった。

 外交については、ウクライナ侵攻を続けるロシアを非難したり、昨年末には、習近平政権の広域経済圏構想「一致一路」から脱退し、中国はむろん、世界を驚かせた。こうしたことから、西側諸国での評価はうなぎ上りで、先日会った日本外務省の外交官は、「もしかしたらサッチャー元英首相の再来かもしれない」とまで誉めちぎっていた。

 そんなメローニ首相が議長を務めたプーリア・サミットを、2日間のセッションごとに見ていこう。