平和サミット共同声明、全会一致ならず ゼレンスキー氏は「理解」

AI要約

ウクライナのゼレンスキー大統領がスイスでの首脳級会合「世界平和サミット」の結果を評価し、80カ国が共同声明を支持したことを称賛。

共同声明では、国際法上の原則を確認し、核の安全確保や食糧安全保障を求める内容が示された。

ウクライナ侵攻の当事者であるロシアは本サミットに招待されず、中国との関係も注目された。

平和サミット共同声明、全会一致ならず ゼレンスキー氏は「理解」

 ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナの和平案を協議するスイスでの首脳級会合「世界平和サミット」の閉幕後に記者会見し、共同声明を約80カ国が支持したことについて「重大な結果だ。大きな成功だと信じている」と評価した。全会一致とはならなかったが、それぞれの立場や意見の違いを踏まえ「理解できる」と述べた。

 サミットには92カ国と8機関が参加していた。中立的な立場を取るインドやサウジアラビアは共同声明に加わらなかった。

 16日に発表された共同声明では、「武力で(他国の)領土の一体性を脅かしてはならない」という国際法上の原則を確認。ロシアが占領するザポロジエ原発をウクライナ管理下へ返還するなど核の安全確保▽食糧安全保障を脅かさないこと▽捕虜の交換と連れ去られた市民の帰還――などを求めた。

 声明では、平和の構築のためには「すべての当事者の参加と対話」が必要であるとも指摘し、今後も具体的な取り組みを続けると表明している。

 今回、ウクライナ侵攻の当事者であるロシアは招待されず、ロシア側もサミット開催に反発していた。しかし参加国からは、ロシアの参加を望む声も多く上がった。会見でこの点について問われると、ゼレンスキー氏は「多くの国がロシアの参加を望んだが、同時に、大半の国はロシアと握手したがっていなかった」と反論した。ただゼレンスキー氏は、サミットでの議論をもとに策定する「行動計画」をロシア側に伝え、2回目のサミットへのロシアの参加を模索するとしている。

 ロシアへの影響力を期待してウクライナが参加を求めながらも不参加となった中国については、「中国は私たちを助けることができると信じている。中国にはウクライナの友人であってほしい」と、今後の関与に期待を示した。

 2回目のサミットの開催時期や場所は未定だが、ゼレンスキー氏によると複数の国が自国での開催に関心を示している。【ベルリン五十嵐朋子】